にゃんこによる、にゃんこの為の、にゃんこ講座

葉柚

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モモさんはとても暗い顔をしていた。
まるで、お通夜みたいだ。

「靴下さん・・・事故にあったの。
 車にはねられたの・・・」

そう言うと、モモさんはがっくりと項垂れた。

「そんな・・・。靴下さんが・・・」

にわかに信じられない。
あんなに元気な靴下さんが車にはねられたなんて・・・。
誰がその情報を仕入れて来たんだろう。
靴下さんはどこにいるんだろう・・・?

「靴下さんは、今どこにいるの?」

「わからないわ。
 ・・・私の目の前ではねられて、車は一瞬止まったけど、すぐに走って行ってし
まったの。
 それで、靴下さんに近寄ろうと思ったんだけど、車が怖くて近づけなくて・・・。
 しばらくしたら、車から降りてきた人間の女の人が靴下さんを抱き上げて車に乗せ
てどこかに行っちゃったの」

「そんな・・・」

靴下さんはどうしたんだろう。
人間が連れて行ってしまったっていうけど、それはどこの誰?
靴下さんは生きているのだろうか。

僕たち猫が車にはねられても、そのまま通り過ぎていく人は多い。
はねた車もしかり。
時々、レスキューしてくれる優しい人間もいるけど、あまり多くないのも現状だ。
レスキューしてくれる場合はとても運がいい場合だ。

靴下さんはどうなんだろう。
どうも、レスキューしてくれた人間がいたみたいだけど、怪我の程度はどうなんだろ
う。

「靴下さんを連れて行ったのは誰?」

モモさんが知らない可能性もあるが、念のため聞いてみる。

「私、病院でみたことがあるの。病院の看護師さんだと思う」

病院の看護師さん!!
あの人だ!

僕とモモさんは同じ病院に通っている。
たぶん、あの人だ。
あの僕たちに優しく接してくれている女性。
彼女ならもしかすると靴下さんを助けてくれるかも・・・。

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