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しおりを挟むそうして、エスフォード王子殿下は地下牢に幽閉されることになった。
この国にはエスフォード王子殿下以外の王位継承者がいない。
だが、国王陛下はまだまだ若いため、重臣たちの間で話し合いがおこなわれ、国王陛下に後妻を娶ることを勧めた。
そうして、その候補に上がったのは、エスフォード王子殿下の元婚約者であったマチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢だった。
マチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢はこうして、無事に国王陛下の妻となり国母となったのでした。
私はマチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢が国母となったことを心から喜んだ。
これで、私も乙女ゲームに縛られることなく自由にすごせると喜んだ。
これからいったい何をしようか、これから先の未来は希望に満ち溢れているような気がした。
めでたしめでたし。
「くそっ。闇魔法の使い手は魔王だというのになぜ皆わかろうとしないのだ。決して、差別なんかではない。この国は魔王に狙われているというのに……。今ならまだ魔王を処刑できるというのに……。」
地下牢に閉じ込められているエスフォード王子殿下は悔しそうに冷たい石の地面を叩きつけた。
エスフォード王子殿下はマチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢が魔王だと気づいているたった一人の人間だった。
それはなぜか。
エスフォード王子殿下は光魔法を使うことができたからだ。
なにも出来なかったと悔しがっているエスフォード王子の元に、コツンコツンという地下牢への階段を降りてくる足音が聞こえてくる。
「誰だっ!」とエスフォード王子殿下は階段を見つめる。
ゆっくりと姿を現したのは、マチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢だった。
「……魔王めっ!」
エスフォード王子殿下はマチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢を睨みつける。
マチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢は口の端をゆっくりと上げ笑みを浮かべた。
「エスフォード王子殿下。残念だったわね。この国の変わりゆく姿をそこから見ているといいわ。」
マチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢は満足そうな笑みを浮かべた。
終わり。
最後までお付き合いくださりありがとうございました!
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