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第31話
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ヒューレッドは腕に抱いたフワフワを起こさないように気をつけながら出来る限りの速度で歩いた。
かけた方が早いのはわかりきっている。だが、宮廷魔術師であったヒューレッドは体力を求められていなかったので、ごくごく普通の成人男性並みの体力しか持たない。そのため、ずっと走るなんてことは無理だ。それに、ヒューレッドは腕にフワフワを抱きかかえている。財布を盗っていった女性を追いかけるために走ったりなんかしたらせっかく寝ているフワフワが起きてしまう。すやすやと気持ちよさそうに寝ているフワフワを起こしたくなくて、ヒューレッドは走らずに歩くことを選んだ。
幸いにも道は一本道だったため迷うことはなかった。だが、足早に歩いたのにもかかわらずヒューレッドの財布を盗っていったと思われる女性に追いつくことはなかった。ヒューレッドの方も財布を盗られたと思うまでに時間を要しており、いくら足早に歩いたとしても追いつけなかったのだ。
しばらく道なりに歩いていると、立派な門が見えてきた。きっと、大きな街があるのだろう。
ヒューレッドは頭の中にこの国の主要な街を思い浮かべる。この国で大きな街と言ったら、3カ所しかない。王都と、王都から南に下ったところにあるレコンダーナシティとイーストシティ共和国の隣に位置するメンスフィールドシティだ。
街の大きさからして王都よりも少し小さいくらいの街だ。そんな街はレコンダーナシティとメンスフィールドシティしかない。
イーストシティ共和国に近いメンスフィールドシティだったらいいなとヒューレッドは思った。
街に入るにはごくごく簡単な荷物検査がおこなわれる。
ヒューレッドは手荷物検査を受けるための列に並んだ。そこで、ハタと気が付く。
手荷物検査を受ける時には身分証明書を見せて名前を名乗らなければならないのだ。その身分証明書を財布の中に入れていたヒューレッドは当然身分証明書を提示することができない。
身分証明書を提示するには、まず先にヒューレッドの財布を盗っていった女性を見つけなければならなかった。ヒューレッドは女性を探すために一度列から離れることにした。
いくらヒューレッドより先を歩いて行った女性であったとしても、街に入るための列に並んでいるのではないかと思ったのだ。それほどまでに長い列ができており30分は確実に列で待機することになるだろう。
ヒューレッドは列の中から赤毛の女性を探すことにした。
ヒューレッドが並んでいた場所から先頭に向かって歩いて行く。ここに来るまでの道中、女性に追いつけなかったから、この列のどこかに女性がいるはずなのだ。そう思ってヒューレッドは一人一人確認していく。
目立つ赤毛に赤色の旅装。目立つ格好だけにすぐに女性が見つかるとヒューレッドは思っていた。
だが、列の先頭まで歩いて行ってもヒューレッドの財布を盗っていったと思われる女性を見つけることはできなかった。もうすでに街の中に入っていってしまったのだろうか。ヒューレッドはガックリと項垂れて列に並び直した。
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