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しおりを挟む「うさぎちゃん。随分気が立っていますね。オレ、少し席を外した方がいいですか?」
「いいえ。大丈夫よ。うさぎちゃんもきっとわかってくれるから。その証拠にほら。大人しくなったでしょ?」
アメリーさんはそう言ってにっこりと笑った。
確かに先ほどよりかは大人しくはなっているけど・・・。
「えっと、まずはアメリーさんに尋ねたいのですが。うさぎちゃんがなにか悩んでいると思ったのはなんでですか?」
うさぎちゃんの警戒心を少しでも解こうとまずは、アメリーさんに話しかける。
アメリーさんがうさぎちゃんと話ができる人物を探していたのはなんでなんだろうか。
アメリーさんとうさぎちゃんのやりとりを見ている限り、アメリーさんとうさぎちゃんは心を通わせているように見えるのだけれども。
「カナタさんはニャー亭の食事を食べたでしょう?」
「ええ。いただきました。」
「味が少し物足りないと思わなかったかしら?」
「え、あ、まあ。はい。」
アメリーさんは急にニャー亭の食事について語り出した。
食事とうさぎちゃんとにどんな関係があるのかわからないけれども、オレはアメリーさんの話に耳を傾けた。
「そうよね。そうなのよね。」
オレがニャー亭の料理の味が少し物足りないと告げると、アメリーさんは神妙に頷いた。
「前はね、もっと美味しかったのよ。」
「そうなんですか。材料や調理法を変えたのですか?」
同じ材料と同じ調理法で味が異なるわけがない。
だとしたら、材料や調理法を変えたとしか思えないのだ。
だから、そう尋ねたのだけれども・・・。
「同じよ。まったく変えていないのよ。」
アメリーさんは材料も調理法も変えていないと言い出した。
「だからね、きっとうさぎちゃんの具合が悪いのかと思って・・・。」
「ん?」
どうしてそこでうさぎちゃんが関係してくるんだ?
オレは思わず首を傾げてしまった。
「ああ。そうそう。言い忘れていたわ。料理に使われているのはうさぎちゃんのミルクなのよ。」
「えっ・・・。」
あの料理にこのうさぎちゃんのミルクが使われていたのか。って、うさぎちゃんって視線がキツいんだけど女の子だったのかな。
「だからね。うさぎちゃんの具合が悪いのかと思って・・・。でも、うさぎちゃんを見てもらえるような獣医さんがこの辺にはいなくて・・・。困っていたところにカナタさんが来てくださったの。」
そう言ってアメリーさんは嬉しそうに目を綻ばせた。
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