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「こちらデザートになります。よければお召し上がりください。猫ちゃんにはミルクを用意いたしました。」

食べ終わって首を傾げていると、先ほどの女性の店員さんがデザートだと言って白いプルプルしたものをオレの目の前においた。

杏仁豆腐だろうか・・・?

そして女性はノエルの前にミルクをおいた。

「ありがとーなの。美味しそうなミルクなのー。」

ノエルはそう言うとお皿に顔を突っ込んで勢いよくミルクを飲み始めた。

あまりにも豪快に飲むものだから、お皿のまわりにミルクが飛び散っている。

「ノエル、ミルクが飛んでるよ。もうちょっとゆっくり飲んだらどうかな?」

「・・・んー。美味しいの-。とっても美味しいのー。」

ペロペロペロ。

ノエルはオレの言葉に反応してミルクの味の感想を言うが、ミルクを飲むのは止めない。

よっぽど美味しいらしい。

オレはノエルの飲みっぷりに感激しながら自分の前におかれた白いプルプルのデザートにスプーンを入れてみた。

予想どおりぷるぷるとしている。

まるでプリンのようにプルプルしている。

スプーンで一口すくって口の中に入れる前に匂いを嗅いでみる。

「・・・?匂いがしないような気がする。」

おかしい。オレ、嗅覚がおかしくなったのだろうか。

そう思いながらも口に含んでみる。

「・・・ん?」

ほのかに甘みが感じられたがそれだけだ。

コクがないし、味が薄くて自分が何を食べているのかわからない。

ミルクプリンではないようだし、独特の味がする杏仁豆腐でもないようだ。

「お気に召しませんか?」

オレの微妙な表情を見てか店員が問いかけてくる。

「とっても美味しいよー。おかわりが欲しいくらいなのー。」

「え。あっと。ごちそうさまでした。」

ノエルは美味しい美味しいと言って嬉しそうにひげをピーンと張っている。

オレは・・・正直美味しいとは感じられなくて、でも正直に言うことなんてできなくて無難にごちそうさまとだけ伝えた。

「そう、ですよね。やっぱり。」

オレの反応を見て、店員さんは「はぁ・・・。」と小さくため息をついて俯いた。

そして直後にいけないと思ったのか、店員さんは顔をあげると謝罪してきた。

「あ、ごめんなさい。お客様の前でこんな態度をとってしまって。」

「いえ。気にしないでください。オレの態度も悪かったですし。せっかく料理を提供してくださったのにすみません。でも、ノエルはここの料理が気に入ったようです。先ほどのご飯も今のミルクも美味しい美味しいと言って飲んでましたよ。」

オレはノエルが舌鼓を打ちながら料理を食べていたということを伝える。

「そ、そう?」

すると、女性は嬉しそうに目を瞬かせた。

「ええ。それで、お話というのは・・・?」

「ごめんなさいね。忙しいのに引き留めてしまって。」

女性は申し訳なさそうに眉を下げた。

「構いません。それより、私に相談というのは?」

オレがそう言って女性に話の続きを促すと女性は少し考えたそぶりをしてから、意を決したようにオレを見て口を開いた。

「うちのうさぎちゃんに会って話を聞いて欲しいの。」


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