『異世界に転移したら職業無職でした ~どうやら無職はチート職だったようです~』

葉柚

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空は晴天。

雲ひとつない青空が広がっている。

オレはその空を見つめながらため息をひとつついた。

「カナタ、ため息つくと幸せが逃げちゃうのー。ダメダメだよ。」

ノエルがぴょんぴょん跳ねながら、オレの足を金色の長いしっぽでテシテシと叩いてくる。

「でもさ、オレ。シラネ様に騙されたのかな・・・?」

「シラネ様は騙さないのー。カナタに全部説明してないだけなの-。」

ぐふっ。

ノエルの説明にオレは飲んでいた水を吹き出しそうになった。

説明してないだけとか・・・。

そうかそうか。

まあ、聞いてないことばっかりだったけどな。

オレの種族のこととか、金色の卵のこととか。

「カナタ、これからどうするの-?」

物思いにふけっているオレに、ノエルが首を傾げながら聞いてくる。

これからどうする・・・か。

正直どうしたらいいのかもわからない。

いろんな金のたまごをもらえば、それによっていろんな能力を得ることができるのだろう。

そうすることで、オレは無職ながらもなんでもできる人間になるのかもしれない。

「あー、ひとまずは仕事を見つけつつ旅をするかなぁ。」

オレに何ができるかはわからないし。

「ふぅ~ん。ノエルも一緒だってこと忘れないでね?」

「ああ。もちろん、わかってるよ。ノエルに苦労はさせないから。」

「ならいいの。」

ノエルは何がご機嫌なのか、尻尾をゆらゆらと揺らしてオレの顔をじっと見ている。

まるで、なにかを待っているような表情だ。

なんだろうか?

ノエルはじれったくなってきたのか、オレの方に首を伸ばしてきた。

そうして、頭をオレに見せてくる。

もしかして・・・撫でて欲しいのか?

「えへへ~。えへへへへ~。」

ノエルが撫でて欲しそうにしていたので、ノエルの頭を優しく撫でてみる。

すると、ノエルは嬉しそうにゴロゴロと喉を鳴らし始めた。

どうやら、頭を撫でて欲しくてオレのことをじっと見つめていたらしい。

もっと撫でてというように、ノエルがオレの手のひらに頭を押しつけてくる。

オレは、ノエルの気が済むままノエルをなで続けていた。

しばらくして、ノエルの気が済んだのか、ノエルがオレの手のひらから離れていった。

なんだか、手のひらに感じていたぬくもりがなくなると切なくなる。

「ノエル撫でると気持ちいいでしょ?」

「あ、ああ。」

確かに、手のひらから感じるノエルの暖かい体温とふわふわの毛並みはとても気持ちいい。

「カナタだから撫でさせてあげるんだからね!」

「う、うん?」

ノエルはピョンとオレの膝から飛び降りると、とてとてと歩いて行く。

「カナタ!行くの!!ノエルはお腹が空いたの!」

「あ、そうだな。もう、お昼だな。」

確かにいつの間にかお昼の時間になっていた。

ノエルがお腹を空かせたというのも頷ける。

今日はどこでお昼を食べようか。

前回はアーモッドさんのところで食べたけど、今日は冒険はしたくないし。

アーリアさんがいるニャーニャー亭にしようか。

あそこなら、料理の味が安定しているということだし。

そう思って、オレとノエルはニャーニャー亭に向かった。

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