『異世界に転移したら職業無職でした ~どうやら無職はチート職だったようです~』

葉柚

文字の大きさ
上 下
40 / 54

40

しおりを挟む
「カナタさんの血を引いていれば職業を選択できる・・・のですか?」

「もちろんじゃ。」

シラネ様はアネットさんの問いかけに悠然と頷く。

オレの血を引くって、もしかしてオレから血を抜いて誰かに輸血したら、その人が職業を選択できるようになるということなのか?

えっ・・・。

それってオレ、これから狙われるんじゃないか。

ちょっと。シラネ様。

なんだってそんなヘンテコな体質にしたんだよ。

「カナタよ。なにか勘違いしておらぬか?」

血を抜かれると思って顔を真っ青にしていたオレにシラネ様はため息をこぼした。

「なにを勘違いしていると・・・。オレ、血を抜かれるんでしょ?」

「戯けたことを申すな。そのようなことはあるまい。むしろ、妾が許さぬのじゃ。」

「カナタさん・・・。」

「カナタさん、あなたって人は・・・。」

オレの発言にシラネ様はもちろん、アーモッドさんとアネットさんも深いため息をついた。

「えっ?あれ?違うの?」

もしかして、皆わかってるのにオレだけ勘違いしてた?

やべっ。恥ずかしいんだけど。

「違うのじゃ。カナタの血を引く者。つまり、カナタの眷属じゃ。」

「眷属・・・?」

シラネ様ってばまた難しい言葉を使う。

眷属ってなんだろう。

よく聞くのは吸血鬼が吸血した相手を眷属とするとか聞くよね。

えっと・・・つまり、

「オレが吸血した相手がオレの眷属になるということか?つまり、頼まれたらいろんな人の血を飲めってこと?」

オレが吸血鬼になればいいってことか?

そうして、血を吸った相手がオレの眷属となり、職業を自由に選ぶことができるということだろうか。

そう思って、オレが確認すると皆唖然とした表情を浮かべていた。

「カナタさん・・・。眷属って言葉の意味、知ってますか?」

アネットさんがオレに尋ねてくる。

「う~ん。聞いたことはあるんだけどね。よくわからないや。」

「そうでしょうね。言葉の意味を知っていたら今のようなヘンテコな質問はなかったでしょうね。」

「ぐっ・・・。」

い、以外とアーモッドさんって毒舌家なんだろうか?

「お主、アホじゃな。ほれ、三歩歩いてみぃ?」

「むっ!シラネ様!アホとは失礼なっ!」

オレはシラネ様のいう通り三歩歩いてみる。

「ほれ。1,2,3,ポカン。」

「ポカン・・・。」

ん?あれ?

オレ、今何に対して怒ってたんだっけ?

なんだか馬鹿にされていたような気が・・・。

「して、眷属とはなにか。わかるものはおるかの?」

「・・・家族ということでしょうね。」

「そうじゃ。」

シラネ様の問いかけにアーモッドさんがため息交じりに答えた。

そうか。

眷属って家族のことだったのか。

「シラネ様。難しい言葉を使わないでくださいよ。まったく。」

「・・・難しい言葉でもなんでもないと思うがのぉ。」

シラネ様が斜め上を見ながらそう呟いた。

「あの・・・。カナタさんの眷属になればってことは、私でもカナタさんと家族になれば、職業を選べるようになるのですか?」

アネットさんがそうシラネ様に尋ねた。

その表情はどこか期待をはらんでいるようにも見える。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ
ファンタジー
 主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?  管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…  不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。   曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!  ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。  初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)  ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

【完結】偽物聖女として追放される予定ですが、続編の知識を活かして仕返しします

ユユ
ファンタジー
聖女と認定され 王子妃になったのに 11年後、もう一人 聖女認定された。 王子は同じ聖女なら美人がいいと 元の聖女を偽物として追放した。 後に二人に天罰が降る。 これが この体に入る前の世界で読んだ Web小説の本編。 だけど、読者からの激しいクレームに遭い 救済続編が書かれた。 その激しいクレームを入れた 読者の一人が私だった。 異世界の追放予定の聖女の中に 入り込んだ私は小説の知識を 活用して対策をした。 大人しく追放なんてさせない! * 作り話です。 * 長くはしないつもりなのでサクサクいきます。 * 短編にしましたが、うっかり長くなったらごめんなさい。 * 掲載は3日に一度。

大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば
ファンタジー
剣があって、魔法があって、けれども機械はない世界。妖魔族、俗に言う魔族と人間族の、原因は最早誰にもわからない、終わらない小競り合いに、いつからあらわれたのかは皆わからないが、一旦の終止符をねじ込んだ聖女様と、それを守る5人の英雄様。 それが約50年前。 聖女様はそれから2回代替わりをし、数年前に3回目の代替わりをしたばかりで、英雄様は数え切れないぐらい替わってる。 英雄の座は常に5つで、基本的にどこから英雄を選ぶかは決まってる。 俺は、なんとしても、聖女様のすぐ隣に居たい。 でも…英雄は5人もいらないな。

聖女の娘に転生したのに、色々とハードな人生です。

みちこ
ファンタジー
乙女ゲームのヒロインの娘に転生した主人公、ヒロインの娘なら幸せな暮らしが待ってると思ったけど、実際は親から放置されて孤独な生活が待っていた。

プラス的 異世界の過ごし方

seo
ファンタジー
 日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。  呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。  乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。 #不定期更新 #物語の進み具合のんびり #カクヨムさんでも掲載しています

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

処理中です...