『異世界に転移したら職業無職でした ~どうやら無職はチート職だったようです~』

葉柚

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「・・・無職?」

アーモッドさんの不審気な声が聞こえてきた。

眉間に皺もよせている。

「はい。」

「・・・そんなことはあり得ません。この世界にいきる者は必ず職業についています。それこそ、赤ん坊からお年寄りまで。」

「ええ。でも、オレは無職なんです。」

「そんなことが・・・。」

オレの言葉だけではアーモッドさんは納得してくれないようだ。

まあ、オレだって同じかもしれない。

もし誰かが「オレは無職だ。」って言ったら信じられないだろうな。

だって、この世界は女神様が産まれたときから職業を与えているのだから。

「ちょっとこちらに来てください。」

「えっ・・・。でも、鶏小屋の掃除が・・・。それに金色の卵を産んだ鶏がぐったりしているのが気になって・・・。」

「掃除はこちらで別の者を手配いたします。・・・鶏は、気になるようでしたら連れて行きますか?」

「え?」

アーモッドさんの言葉にオレはドキッと驚いた。

鶏を連れて行くってどこへ?

鶏小屋から出してしまっても問題ないのだろうか。

ってか、オレ、どこに連れて行かれるのだろうか。

「差し上げますよ。」

「えっ!!?」

どうやら鶏をオレにくれるらしい。

でも、オレ鶏の飼育方法なんて知らないし。

それに住んでいるところすらない状態なのだ。

それで鶏をもらっても嬉しくはない。

「心配せずとも大丈夫です。基本的にご飯をあげて自由にしていてあげれば問題ありません。あ、日光にはできるだけ当たるようにしてくださいね。」

「は、はあ。でも、オレ家がないんで・・・。」

「気にすることはありません。ニャーニャーニャー亭の寮の一室を提供いたします。」

そういうことになった。

「さあ、そうと決まればこちらに来てください。」

オレはそう言われてアーモッドさんに手をひかれながら鶏小屋を後にしたのだった。




☆☆☆



「うわぁ・・・。すごく大きな建物。」

アーモッドさんに連れてこられたのは、アーニャ町の中心部に位置するでっかい建物の前だった。

この建物はなんだろうか。

華美ではないのだが、シンプルな装飾がいたるところにある。

それに、人が出たり入ったりしている。

「ここに来るのは初めてですか?」

「はい。ここは何のお店ですか?」

「ギルドです。」

「え?ギルド・・・?」

ギルドってなんだろうか。

お店の一種なんだろうけど、ギルドというお店がよくわからない。

もしかして、ギルドっていう名前のお店なのだろうか・・・?

「カナタさん・・・。もしかして、ギルドを知らないんですか?」

「・・・はい。」

知らないものは隠してもすぐにバレてしまうし、オレは素直に頷いた。



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