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「産まれたって・・・それ・・・金色・・・。」

アーモッドさんは呆然とオレの手にある鶏の卵を見つめている。

あれ?

違うのかな?

オレ、こっちの世界の鶏の卵だからたとえ金色の卵であってもおかしくないと思ったんだけど。

まあ、他の卵は白かったけどさ。

時折金色の卵が産まれるのかと思ったけど違うのかな・・・?

「・・・カナタさん。卵は普通は白なんです。まあ時折少し茶色がかった卵を産む鶏もいますが。うちで飼育しているのは白い卵を産む鶏だけなんです。」

「は、はあ。」

白い卵しか産まないのであれば、この金色の卵はどういうことなんだろうか。

でも、どうにもこの卵がお腹に詰まってしまっていた鶏が産んだ卵だと思うんだよなぁ。

状況から考えると。

「・・・でも、極まれに金色の卵を産むことがあると聞いたことがあります。」

アーモッドさんはしばらく考えてから慎重に言った。

「鶏が感謝をした相手に一生に一回だけ金色の卵を産むと聞いたことがあります。」

なるほど。

そうなるとこの鶏は・・・。

「ここで快適に飼われていたから、感謝して金色の卵を産んだってことですね。」

オレは、そうにこやかに言った。

さすがは異世界。

感謝の気持ちで卵の色が金色になるだなんてオレの住んでいた日本では考えられないことだ。

やっぱりここは異世界なんだなぁ。

不思議なことが起きる。

オレはそう納得したのだが、アーモッドさんは納得していないように見える。

「・・・カナタさん。貴方の職業は何なんですか?もしかして、貴方は・・・。」

今になってアーモッドさんがオレの職業を尋ねてくる。

ここでオレが無職だって言ったらアーモッドさんはどんな顔をするのだろうか。

「・・・テイマーですか?」

「へ?テイマー?」

アーモッドさんの口からでたテイマーという職業にオレは驚いた。

テイマーなんて仕事、日本にはなかった。

だが、異世界にはテイマーという職業があるのか。

それって、あれだよな。

動物とか魔物とかを使役する職業だよな?

オレが、テイマーだと?

あり得ない。無職なのに。

それに、無職は誰かに師事すれば他の職業の適性を得ることができるとシラネ様に言われているが、まだ誰にも師事したことがない。

それにテイマーというのは動物や魔物を使役するが、それを感謝されるものなのだろうか・・・?

「テイマーを知りませんか?そうですよね。珍しい職業ですから。テイマーというのは動植物と心を通わせ言葉を交わすことができる希有な職業です。テイマーは動植物を愛し、これらに尽くします。そんために動植物たちから感謝されることが多いのです。」

「へーそうなんですか。」

なるほどな。

動植物と心を通わせ言葉を交わすことができる・・・か。

ん?あれ?

そう言えばこの世界でも普通は鶏とは言葉を交わすことができなかったりするのか?


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