『異世界に転移したら職業無職でした ~どうやら無職はチート職だったようです~』

葉柚

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「妾は女神様なのじゃ!それ以下でもそれ以上でもないのじゃ!」

あくまでも自分は女神様だと言い切る幼女にオレは生暖かい視線を送る。

「わかった。わかった。で、女神様。オレはなんでここにいるんですか?ここは死後の世界か?」

「むぅ。納得しておらぬじゃろ。まあ、いいのじゃ。ここに人間が来るのは100年ぶりなのじゃ。寛大な妾は許してやろう。」

うをっ!?この幼女こんな見た目で100年以上生きているのか。

まったく設定に無理があるだろう。

「妾はな、お主の死が可哀想で仕方がなかったのじゃ。お主、今まで不幸続きだったじゃろ?」

「うっ・・・。」

幼女に可哀想と言われるとか。

「幼い頃は身長が人より高くて木偶の坊と呼ばれておったの。かと思えば成長期には成長が止まったゆえ、今度はチビと呼ばれるようになった。そうじゃろ?」

「・・・ほっといてよ。」

そうだよ。

幼稚園に通っていたころは他の子よりも成長速度が早かったんだ。

他の子とは頭2つぶんくらい背が高かったんだ。

でも、そこで成長が止まってしまい、皆が成長期を迎える頃にはピタッと背が伸びなくなってしまったのだ。

だから、男なのにオレは身長が150㎝もないのだ。

「それに、その身長ゆえに彼女ができたこともない。うむ、可哀想じゃのぉ。実に可哀想じゃ。それで、大学では子供扱いをされつつ陰キャとして過ごし、社会人デビューを狙っていたらブラック企業に勤めてしまったのじゃな。母親が必死になってとめておったのに、言うことを聞けばよかったのぉ。」

「うう・・・。あのときは100社以上入社試験を受けたけど、そこしか受からなかったんだよ。でも、お給料はよかったから・・・。」

「うむ。じゃが、残業代込みでこのお給料は・・・のぉ。」

「うう・・・。」

まさか求人票に書かれている月給が残業代込みだなんて思わなかったのだ。

そして、残業がこんなにも多いだなんて思いもしなかった。

「妾はお主が可哀想でならぬのじゃ。だから、他の世界で人生を満喫するのじゃ。母親にはそう伝えておくでの。」

「へ?でも、オレ死んだんでしょ?」

「うむ。死んだのじゃ。だが、特別に妾が第二の人生を送れるようにしてあげるのじゃ。」

オレは死んだというのに第二の人生とはどういうことであろうか?

転生ならわかるけど・・・。

「異世界転移より転生の方がいいのかえ?別に転生の方が妾は楽だからよいが、記憶は消させてもらうぞ?」

ああ、そういうことか。

転生だと記憶がなくなっちゃうのね。

だから、転移ということか。

でも、オレの身体は車にひかれて使い物にならないだろうし・・・。

「身体から再構築するのじゃ。」

「ええっ!?じゃあ、身長ももっと高くなるのか!?」

「うむ。高くすることもできるのじゃ。」

「頼むっ!高くしてくれ!」

どうやら身長は今より高くなるようだ。

転移だというから見た目は変わらないかと思ったが、身長が高くなるのならその方がいい。

今まで身長のことで散々からかわれて来たのだから。
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