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第24話
しおりを挟む「ユーフェか……。ミーアはどう思う?」
ユフィリアが離れを去った後、ルードヴィッヒはミーアの頭を撫でながら問いかけた。
ミーアは眠そうに「みゃぁう。」と大きなあくびをした。
「そうだよね。ミーアはユーフェには会ったことがないものね。」
ルードヴィッヒは先ほどまでいたユフィリアからの相談事を思い出す。
ユーフェはルードヴィッヒがまだ小さい頃から使用人としてコンフィチュール家に仕えていた。元は孤児だったと記憶している。
ユーフェとルードヴィッヒは年が近いこともあり、幼少期には一緒に遊んだこともあった。年を重ねるごとに、ユーフェは侍女として仕事を全うするようになり、ルードヴィッヒと遊ぶこともなくなった。
ルードヴィッヒの方も、コンフィチュール家の当主になるために父親についていって仕事の仕方を学んだり、領地経営について学んだりと忙しい毎日を送っていたために、ユーフェと仕事以外で話をすることもなくなっていった。
「ユーフェは良くも悪くも真面目だからねぇ。」
仕事ぶりはとても真面目という評価だ。
真面目で誰にも媚を売らない。目上相手でも悪いと思ったことは素直に指摘する。
そんな仕事ぶりが認められてユーフェは侍女長まで上り詰めた。
ルードヴィッヒの母親であるコンフィチュール辺境伯夫人が亡くなってから、ユフィリアがコンフィチュール家に嫁いでくるまでは、コンフィチュール家の女主人代理として采配を振るっていた。
問題はおきていなかったはずだ。
ユフィリアがコンフィチュール家に嫁いでくるまでは。
「……いくらコンフィチュール家で働いている期間が長いと言っても、ユーフェはただの使用人だし。ユフィリアから仔猫ちゃんを取り上げる権限はないんだけどなぁ。それに、ミーアのこともユフィリアに説明していなかったみたいだし。」
ユーフェのことは幼い頃から知っていた。だから、ルードヴィッヒも彼女のことを信頼していた。
だが、ユフィリアが嫁いできてからのユーフェの態度は使用人としての域を通り越しているような気がするのだ。
「ミーアのことをユフィリアに伝えていなかった理由を聞いた時も要領を得なかったし。」
ルードヴィッヒの中に少しずつユーフェに対しての疑念が湧き上がる。
「ユーフェはユフィリアのことを女主人として認めていないのかな。あまり私がでしゃばることではないのだけど、少し様子を見てくるか。」
ルードヴィッヒはミーアが自分の子供たちにミルクを与え、排せつを促しころころと眠り始めたことを確認すると、椅子から立ち上がった。
「少し、ユフィリアのところに行ってくるからね。」
ミーアの頭を優しく撫でてからルードヴィッヒは離れから出て、先ほど別れたユフィリアの部屋に向かうのだった。
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