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第一章

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うふふ。

猫様可愛い。

ヒロインちゃんが行ってしまった後、私はしばらくティーガ様とクロロ様をもふもふして癒されていた。

ティーガ様も、クロロ様もとってもお利口さんで、喉をゴロゴロ鳴らしながら、私にもふもふされている。

ティーガ様なんて、お腹まるだして、ゴロンゴロン転がりながらお腹を撫でる私の手にじゃれついている。

もちろん、爪は隠しているし、甘噛みだからいたくもない。むしろ、気持ちいい。

クロロ様は、ヒロインちゃんを追い払ったことを誉めてほしいとばかりに、頭を刷り寄せてくる。

頭を中心に体全体を撫でてあげると、これまた嬉しそうに喉をならしている。



ほんと、癒される。

可愛い。



でも、そろそろ日が暮れる。

あまり遅くなると、侍女のリザが心配して探しにくるかもしれない。

このままここで、猫様たちをもふもふしていたいけれど。

後ろ髪をひかれながら、「またね」とティーガ様とクロロ様に挨拶をして別れる。

ティーガ様とクロロ様は、ずっと私のことを見送っていた。

なんて可愛い。









寮の自室に戻ると、リザが迎えにでてくれた。

金髪金目のリザはハッとする美貌の持ち主だ。

「お帰りなさいませ。遅かったですね。」

「ティーガ様とクロロ様とお会いしていたのよ。あ、クロロ様というのは、今日出会った黒猫ちゃんよ」

「そうでしたか。アルメディア様は猫様たちが大好きですものね。癒されましたか?」

「ええ、とても」

「それはよろしゅうございます。では、お着替えをお手伝いさせていただきます」

実はこのリザ、私と同様無類の猫好きでもある。だからこそ、学園にまで連れてきたのだけれども。

いつも、ティーガ様がいらっしゃると、いつもは無表情な顔がパァッと明るくなる。本人は隠しているみたいだけど。



リザの手を借りて、制服から部屋着に着替えた私はこれまたリザの手を借りて夕食をとっている。

食堂で食べてもいいのだけれども、余計な人たち(王子やヒロイン)と会わないように、リザにお願いして夕食を部屋に運んでもらっている。

貴族が多く通っているだけにこの辺のルールは寛大で、部屋で食べても良いことになっている。

ケータリング可能な食事も食堂には多数用意されている。

リザは小さい時から私の侍女をしているので、私に好みをよく把握している。

時々私より、私のことに詳しいんじゃないかと思うことがあるくらいだ。

とてもできた侍女である。

リザがお嫁に行ってしまったら、快適に過ごせなくなるかもしれないと危惧をしているくらいである。

食事を終え、ソファでまったりとしていると窓の方から



「にゃあ」



という可愛い声が聞こえてきた。

リザが優しく窓を開ける。



「ようこそいらっしゃいました。ティーガ様。お隣の方はご友人ですか?」



リザがいつものように、ティーガ様を部屋の中にいれている。もちろん、ティーガ様の足を拭くのを忘れない。

抱っこは好んでされるティーガだが、どうも足を拭くという行為は苦手らしくいつももぞもぞ動いている。



「あら、クロロ様もいらっしゃったのね」

「にゃあ!」



ティーガの後ろからクロロ様が顔を出す。

クロロ様はティーガ様の足が拭き終わるのをまってから、自らリザに足を投げ出した。



「あら、クロロ様とおっしゃるのですね。綺麗な黒い毛ですね」



リザはクロロ様の足を丁寧に拭く。

クロロ様は抵抗を一切しなかった。



誰だよ、クロロ様が警戒心強いなんて言ったの。

されるがままじゃないの。



しかし、ティーガ様もクロロ様も攻略対象の家の猫様だと思っていたんだけど、夜ここに来て誰も心配しないのかしら。



綺麗になった猫様たちと一緒にお風呂に入り、一緒にベッドに横になる。

すり寄ってくる猫様たちをなで回し、その手触りにうっとりしながら目を閉じる。

幸せな夢が今日もみれそうね。
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