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人間観察のススメ

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突然ですが、僕は人間観察が趣味です。
このことを誰かに話すと、「うわっ、出たよそういうタイプ」みたいなことをよく言われるのですが、
趣味といっても、わざわざ人間観察をしにどこかへ出かけます、とかいうのではなくて、例えば散歩してる時に、チラッと前を歩く人とかを見る、とかそんな感じです。(十分キモいですね)


さて、ここから本題です。
僕は一人でいる人を見るよりも、二人以上でいるのを見る方が好きなのですが、
このやり方が、僕に大切な感情を与えてくれるので、是非皆さんにもオススメしたいのです。
二人以上である理由は、簡単に言ってしまうと『その人達への想像が容易くなるから』が理由です。具体的に説明します。

この間、品川という駅で、足の悪そうなおばあちゃんと、それを支えるおじいちゃんの老夫婦が歩いていました。
「大変だな」とか他人事みたいに思いながら、ぼんやりと目で追っていたのです。
そのうちに、おばあちゃんと喋るおじいちゃんの幸せそうな顔が見えて、途端にこちらも胸がいっぱいになって、
「ああ、この老夫婦は大変そうに見えたが、僕が感じれるような最大の幸せを感じながら生きられているんだろうな」「もしかしたらこの方々にも僕と同じくらいの孫がいて、僕の祖父母のように、優しさで満ちた愛を注いであげているのだろうか」
などと、勝手な親近感さえ湧いてきました。

またとある日は、
男子高校生のグループが渋谷のセンター街というところを歩いていて、陰キャラな僕は後ろから「おーいおい、邪魔だなあ」みたいなことを思って見ていました。
そのうち、どこで食事をとるのかのジャンケンを始めたのですが、それが僕の男子校時代を彷彿とさせて、だんだん彼らが僕とその頃の友達に見えてきて、懐かしさで胸がいっぱいになったのです。
「わかる、サイゼリヤが1番だよなあ」「昼から渋谷いるってことは、試験期間中なのかな、テストやばい!みたいな話もしてるんだろうな」みたいなことを考えながら、穏やかな気持ちになっていました。

そう、この感情です!僕の思う人間観察の最大の醍醐味とは、を感じることにあるのです。
赤の他人を観察する時、例えば、僕と祖父母、僕と友達、みたいな感じで、自分と近い人との関係を当てはめることが出来れば、グッと親しみを覚えやすくなるはずです。
これが通行人ただ一人だけとなると、自分とその通行人との、二人だけの共通点を探さなければいけなくなるので、人間観察の醍醐味を感じづらくなってしまいます。

では、この他者への親近感がなぜ、大切な感情にあたるのでしょうか。もちろん、みなさんは漠然とお分かりだと思います。
あえて曖昧なまま言葉にすると、他者を理解することが、自分の中に️を生み出してくれるからなのです。
ここでいうとは、自分一人だけで持つものではなく、相手に対する尊敬が形となって表れるものです。具体的に説明させてもらいます。

仮に、あなたが電車の中で誰かにぶつかられたとします。それが友達だった場合、何も言わないでまた喋り始めるか、あるいはちょっと仕返ししてやるとか、やり方は違うにしろそのどちらも温かさを帯びているものです。
では、赤の他人だった場合はどうでしょうか。
大半の人はチラッと見ただけで無視するか、中には怒り出す人もいるでしょう。ここでは温かさはあまり生まれていません。(もちろん、気を遣えることは素晴らしいことです)

この温かさというのが、優しさの正体です。
そしてこの温かさとは、他者への尊重によって生まれるものなのです。
『この人も自分と同じように、この人なりの生き方をしているんだ』
=他者への親近感
が大切となってくるわけです。

そしてその方法の一つとして、僕は人間観察をオススメします。
繰り返しになりますが、人間観察によって、『自分と他者との近さ』を実感できるのです。

是非あなたも、目の前の二人組を観察してみてください。きっと素敵な気持ちになれると保証します。


お読みいただき、ありがとうございました。
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