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1章

11話──謎だらけのおじいさん

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「おい!お前そこをどけ。」
例のおじいさんだ。

「どうぞ。」
俺はベンチの端にズレた。

「そのベンチからたて!」

「え?なんでですか?」

「わしの荷物がおけないじゃろ!」

「でも、俺が先に座ってたんですよ?」

「おまえ!年寄りにたってろって言うのか!」

「いや、あなたが座って荷物を下に置けばいいじゃないですか。」

「わしの荷物を下に置けじゃと?汚れるではないか!」

「じゃあ膝の上に乗せればいいですよ。」

「まったく、仕方ないのう。」

「おじいさんはなんで毎日ここにいるんですか?」

「む!なんだね。わしの話を聞きたいのかね?」最近誰とも話さなかったのだろうか。とても嬉しそうだ。

「はい。聞きたいです。」

「そうじゃのう。わしの妻がまだ生きてた時にここでよくおしゃべりをしたりお菓子を食べたりしてたのじゃ。じゃが、去年妻は他界してしまってなあ。それ以来わしはいつかまた妻に会えると信じて毎日ここに来てるんじゃよ。」

「そうだったんですか。そんな悲しい出来事があったなんて...」

「わしも妻なんて来ないとは思っているんだが、習慣になってしまって毎日ここに来るようになってしまった。今日はありがとな。久しぶりに話し相手が出来てわしも妻と話せた気分になれた。そろそろ帰ろうかのお。」

「あ、おじいさんこれどうぞ。」
焼き鳥を手渡した。

「いいのか?」

「はい!話を聞かせてくれたお礼です。」

「ありがとうな。今日はちょっと早いけど帰る。また話し相手になってくれ。」

「はい。いつでも話し相手になりますよ!」

「では、じゃあな。」

「さようなら。」

リュウは謎だらけのおじいさんのクエストを達成しました。

「おぉ!すげえ!報酬がやばい...」
10万ゴールドにアクセサリーEXガチャチケット2枚、スキルガチャチケット?なんだそれ。

「とりあえずマイさんのところに行くか。」
おすそ分けになんか食べ物でも持っていこう。

「流石に焼き鳥は飽きてきた。今日はベビーカステラにしよう。祭りじゃないのに毎日売ってるなんて良心的だ。」

「すいませんベビーカステラ2つください。」

「はいよっ!お兄さんなんかいい事あったんかい?」

「分かります?ちょっとクエストが成功して、お財布がホカホカなんですよ。」

「それはおめでたいな。ほらよ!ベビーカステラ2つだ。中にお祝いとして少し多めに入れといたからまた来てくれよな。100ゴールドだ。」

「はい。わかりました。ありがとうございます。」

「ガチャ」

「マイさんこんにちは!」

「あらリュウくん帰りが早かったわね。」
朝の11時に出て1時に帰ってきちゃったのだ。

「ちょっといいことがありましてね。これお土産です。」

「わあ!ありがとう。ベビーカステラなんで久しぶりに食べるわ!」

「それでおじいさんのクエストクリアしちゃいました。」

「そうなんだ。それにしても美味しいわ......ね?え?今なんて「クエストクリアした」って聞こえたような...でもそんなはずないわよね。」

「クエストクリアしましたよ!」

「うそ!!!すごい!どうやって?」

「おじいさんとお話したらクリアしましたよ。」

「いや、あのおじいさん話しても無視するよ?」

「その話は後ほどにして報酬が異常なんですよ!」

「そうなの?」

「はい!10万ゴールドにアクセサリーEXガチャチケット2枚、スキルガチャチケットです。」

「うわ!流石ネタクエストなだけあるわね。」

「早速ここで引いてみていいですか?」

「いいわよ。」
そしてリュウはメニューを開いた。
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