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調査

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アイナは、自室にて考えていた。

「どうやったら…人の弱みを握れるのかしら?」

するとアイナの横から、ヌッと出てきたサブリナが
「ヌフフフ…お嬢様?グレイ様を尾行したらいいのですよ!!」

ぐるん

アイナは、目を輝かせて…そしてジーと疑いの目を向ける。
「サブリナ!!あなた!…したことあるの?」
サブリナは、違う方向をみている。
「…べっ別に、お嬢様を尾行していたわけじゃ…ないです…よ…?」
「…してたのね?」
とアイナは、サブリナの嘘を見破りながら少し笑う。
「よしっ!調査よ!今は、夜の二十時ね!…サブリナ!お兄様達に内緒で外へ行ってグレイの弱みをゲットするわよ!!」
「お嬢様と二人で、憎きグレイの珍行動をっ!!!」
「サブリナ!主旨が、かわってるわ!!!」
突っ込みをしたアイナは、ため息を吐きながら
「今から暗めの服を着るわよ!私もだけどサブリナもね?」


アイナの部屋の窓から、ロープをおろす。
サブリナに
「怖かったらゆっくり降りるのよ?」
「…わかりました。」
サブリナは、ゆっくり降りていき地面に着地しロープを揺らした。
アイナは、
「よしっ!行くわよ!」
と言い降りていって、馬小屋の近くに馬車を置いていてサブリナと一緒に乗る。
アイナは、手綱を持ち
「サブリナ?落ちないように気を付けるのよ!少し、早く走らせるから!」
「はい!!」
屋敷から離れ二人は、少し安心する。
「あのお兄様とレイモンドが、気づかないのも気味悪いけど…まあ、いいか!!」

ガタガタ
ガタガタ

アイナの屋敷から、少し離れた所にグレイの屋敷がある。といっても、別荘らしいが…
だんだんとグレイの屋敷が見えてくる。
屋敷の近くに少しだけ草や木の茂みがあり、アイナは
「ここで馬車を止めるわよ。それから、歩きましょう。」
馬車を置いて少し馬を撫でてから、屋敷の方へ行く。
大きな白色の壁に赤い屋根の屋敷の外にいるアイナとサブリナ。
サブリナは、アイナに
「どこにグレイ様の部屋があるかわかりますか?」
すると窓近くに人影が見え、窓の下に隠れる。
人影は
「おい!!パックは、まだか?」
アイナは、サブリナに人差し指をあげて【ここよ】とアイコンタクトをとった。
そして、執事が
「グレイ様!!アルパカの唾液のパックで、ございます!!」
グレイは、上半身裸の状態で
「待ってたぞ!!このパックは、少々…うん…だいぶ臭いのだが…効果は、あるんだ!!」
執事は、窓を開ける。
するとアイナとサブリナの鼻に強烈な臭いが襲いかかってきた。
鼻をおさえるアイナは、心の中で
“嘘だろ!!臭いよ!!ここまで臭うの、アルパカ!!しかも塗るのか!!”
サブリナは、白目で
“無理無理…無理…どうやって唾液を?”
各自思うことが、ありながらも紙に記録をする。

ずっと我慢をしていると、グレイは執事に
「次は、いつものを!レモンもあるな!!」
「はい、グレイ様!」

アイナは、何が起こるかドキドキした。
“次は、何?何か動物の…?”



するとグレイは、叫びだした。

「うわああぁぁぁああー!!!!!!!!」

アイナは、怯えながら覗いてみると驚いてしまう。
「…!!!!!」
サブリナの頭を叩きながら
「おっおっお嬢様!!!痛いです!!痛いです!!何で…す」
サブリナも見てみると、声を失う。

グレイは、何をしているのか…
半分に切ったレモンを絞って自分の目に入れていた。
アイナとサブリナは、お互い抱き寄せながら震えた。
アイナは、小声で
「私、こんな婚約者嫌よ!!」
サブリナも
「おっお嬢様…婚姻は、やめましょう!!必ずやめましょう!」
そういっていると、グレイが急に窓の方へ向かって

「おい!!そこに入るのは、誰だ!!!……っレモンの汁が、ヒリヒリする…」


アイナとサブリナは窓の下で、お互いの口を手でおさえあっていた。
グレイは、

「…ん?気のせいか?」

窓を閉める音がする。

アイナは、サブリナに
「もう帰りましょう…」

そっと足音をたてず帰った。

屋敷から離れ、馬車の所へ戻る。
アイナとサブリナは、息を吐く。
「何よ、あれ?アルパカの唾液パック…」
サブリナは、震えながら
「自分の目に、レモン汁を入れるって…おかしくないですか?」
アイナは、両腕を抱き締めながら
「あれよりも、すごいことがあるんじゃ…」
サブリナは、
「まだですよ!まだ始まったばかりなのに…」


「「挫けそう/です」」

アイナは、サブリナに
「あなたがいてくれて頼もしかったわ!…またお願いできる?」
「やっぱり珍行動を見に行くしかないですものね!」
「珍行動…えぇ…カナリねぇ…さぁ、帰るわよ」

手綱を持って馬を走らせ、屋敷へ帰った。


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