ハチ切れ令嬢は、笑みを浮かべながら復讐する。

変化

アイナとグレイが、会わなくなって三年が立った。
たまに、貴族のパーティーで出会うが会釈をするだけである。

今日のアイナは、緊張していた。なぜなら兄…バイロンの学校へ来ていて、フェンシングの剣を届けにきたのである。
「お兄様…どこにいるのかしら？正門で待っていると言ったのに…」

すると複数の男子生徒の声が聞こえてきた。
「グレイ・カールソン侯爵～？お前の父の仕事が偉い仕事だから…ここへ入学できて羨ましいよ～俺らは必死に頑張ったのにな～」
「ほんとだよ～俺達、苦労してきたんだぜ～？」
「お前は、お父様がなんとかしてくれて…羨ましいな～」
ある男子生徒が、グレイの肩を掴み
「おい！！何か言えよ！！」
という。
するとグレイは、笑いながら
「ハッ！庶民のお前らには、わからんだろうな！！
」
男子生徒達は
「はぁ？お前と同じぐらい貴族だが？！！」
と怒り、持っていたバケツの水をグレイにかけようとしたが、アイナにかかってしまった。

バシャッ

男子生徒達とグレイは、アイナを見て
「「「「「「あっ！」」」」」

髪は少し濡れ、紺色のワンピースがビショビショになった。
「…」
アイナは、震えている。
男子生徒達とグレイは、慌てる。
グレイは
「おい！！ルメール嬢、大丈夫か？」
とアイナを心配する。
男子生徒達も
「すっすまない！」
「えっ？！ルメールって？」
「フェンシングで有名のバイロン・ルメールの妹か！？」
と驚いていた。

ポタポタ  ポタポタ  ポタポタ

ユラリとアイナは、男子生徒達とグレイの方へ顔を向ける。
そして、微笑む。
「…紳士たるもの…品格は、大事ですよ？
ところで、私に何か言うことは…ございませんか？」
とアイナは、男子生徒達とグレイの前に一歩足を出した。
男子生徒はアイナの態度に腹が立ち、右手でアイナを殴ろうとした。

「女の癖に、生意気な！！！！！」

グレイは、大きな声で
「バカ！やめろ！！」


ゴッ！！！！！！


グレイは、ため息を吐きながら
「…だから言ったのに…」

呆然とした男子生徒は頬をおさえながら、アイナに殴られたことがショックで怯えていた。
他の男子生徒達は、悲鳴をあげ
アイナは、ギロリと睨み
「女性に手をあげるとは、何事です？」
殴られた男子生徒は、震えながら
「いや…あなたが先に…」
「お黙りなさいっ！！！」
「「「「「「はいっすいません！！」」」」」
と言って逃げていった。
アイナは男子生徒達を睨み付けながら、ため息を吐く。
グレイは、アイナに
「おっおい、大丈夫か？」
“一応、女性だから労ろう…巻き込んでしまったし…”
アイナは、グレイの顔見て
「あなたは、人と会話する時…なぜ喧嘩腰なのです？だから、こんなことになるのです！！」
グレイはアイナの真剣な顔に、たじろぐ。
「うっうるさいな！お前には、関係のないことだ！！」
「えぇ…関係ございません！ただ、あなたのお父様の迷惑にはなります！私達の父達の仕事をお忘れですか？恥をかかせて申し訳ないと思わないのですか？！」
とアイナに、嫌みではなく本気で怒られてしまったグレイは、何も言えなかった。

アイナは、
「…余計なことを言いました。私は、兄と会うので失礼します！」
と言い去っていった。



学校内の噴水で、やっと兄・バイロンを見つけたアイナ。
バイロンは、アイナを見て驚く。
「アイナ！！どうした？ビショビショじゃないか？」
アイナはバイロンに忘れ物を渡しながら、軽く睨み付けて
「お兄様を探していたら、喧嘩に巻き込まれたのです！！全く、貴族の男性達は、すぐ殴ろうとするのだから…」

「あぁ？なんだと？どこのどいつだ！？わかったら、懲らしめとくからな！！」
と言うと、アイナはボソッと
「…殴っときました…」
バイロンは、
「んぇ？」
と聞き返していた。