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しおりを挟むずるり、と上からのしかかるようにして肉棒がアナルに挿入された。途端、駆け抜けた強い性感に目を見開く。
「っ、っあ゛……!!?」
絶妙な角度で、ペニスの先端は敏感なしこりに食いこんでいた。じっと動かずにいても、圧迫による刺激によって快楽のさざ波が途切れず身を襲う。
「ちょ、ちょっと待って、まってください、これっ……なんか、やばいとこ、当たって、」
「やばいってなんだ」
「あっ、その、す、すぐにイっちゃうところがっ、あ゛ぁあっ♡♡!?」
当たってる、というか抉れてるのに、恭司はそのままぐりぐりと先端を押しつけてきた。
「───ま゛っ……っ、っ~~~~~♡♡♡」
強烈な刺激に耐えきれず、尻がぶるぶると震える。これを続けられたらやばい。本能で悟った危機に、腰をくねらせて敏感なポイントを逃そうとするも、上からぐぐっと恭司の身体に押さえつけられ、逃げ道を塞がれた。
「あっぁあああ゛っ♡♡ うあ゛あっあぁ゛っ♡ きょっ、恭司さんっ、それやばいっ、だめっ、だめっ、ほんとにっ、おれすぐイっちゃうっ、いっ──いぐっ、ぅ゛………♡♡!!」
身動きできないからだに叩きこまれる快楽。ついで襲う鋭い絶頂にガクガクと全身が戦慄こうとするも、恭司の体重に潰されて、痙攣をも押し殺される。
「あ゛っ♡ あう゛っ♡ あっ、あっ、あ゛────♡♡」
逃げ場だけでなく、満足な体の反応までも塞がれて、電流のような快感を強制的に体内に押しとどめられる。尻を潰すように体重をかけたまま、恭司は熟れた肉壁を小刻みに揺すった。絶頂のさなかにある敏感な膨らみに亀頭をぐいぐいと押しつけられて、その度に小さなオーガズムが弾ける。わずかに動ける範囲でのた打つからだを容赦なく追い詰められる。重ねるたびにオーガズムの深さが増し、その内に絶頂と変わらない刺激にまでのぼりつめる。穿たれるたびにイく。イく。イッてる。境い目が掻き消えそうな連続絶頂に、バチバチと目の前に閃光が弾けた。
「ひっ、っィ゛、うあ゛……ッ」
視界がゆがむ。また、意識が飛ぶ。そう予感したと同時、恭司は一度腰を引き、肌が鳴るほどに腰を打ちつけた。
「あぁ゛あああ゛っっ♡♡!!?」
おちかけた思考が、快楽によって無理やり引き戻される。肺が潰れるような衝撃。呼吸が整わないうちにペニスが抜かれ、また激しく打ちつけられる。
「うぁあ゛っ♡ ああ゛っ、あ、あ゛~~~~~♡♡」
深く穿たれるたびに弱点を押しつぶされる。吸いつく肉壁をずるりと擦りあげながら抜かれる刺激もたまらず、瞬はシーツをひっ掴みながら止まらない性感に鳴いた。
「あぁあああ゛っいくっ、イくっ、イ゛きますっ♡♡!! だめっだめ、だめぇ゛っ♡♡ あぁああああ゛っまってぇ゛っ♡♡ いぐぅっ♡ いくっ、いぐっ、イ゛ってますっ♡♡ やぁ゛っああっ、あ゛─────!!!」
自重を乗せた重い突きに翻弄される。暴力的な快楽に脳内を掻き乱される。精を枯れてもなお絶頂を強制されるペニスの先端がくぱくぱとひくつき、上から与えられる律動に合わせてそこがシーツに擦られると、どうしようもない快感に後孔がきゅううと強く締まった。自分を犯す肉棒の形が、熱が、より鮮明になる。
「ふぐっう゛っ、うぅううう゛っ」
やめないで、って、いったのは、おれだけど。
「あぁあ゛ああっ♡♡ いくっイくぅ゛っ♡♡ やだぁっ♡ イ゛っ……くぅううう゛っ♡ あっぁああ゛っ、あ゛──♡♡!! ごっ、ごめんなさい゛っ、もうだめっ、だめですっ♡ おなか熱いっ、おかしいっ♡♡ おかしくなる゛っ♡♡」
ぶんぶんと首を振る。半ば無意識に手を伸ばし、ベッドの柵を掴んだ。なんとか這いずりあがろうとしたところで恭司の手が上から重なり、無理やり柵から引き剥がされた。
「はうっ……あ、っひ、ィ゛───!!?」
強い力で両手をシーツに縫いつけられる。咎めるようにばちゅんっと音を立てて奥まで穿たれる。そのままそり返ったペニスに丁寧に前立腺を扱かれて、声もだせずにイかされる。鈍りゆく意識の一方で、犯される粘膜だけが敏感さを増していく。肉壁をこすり上げるペニスの熱に全身の神経が集中する。その身に与えられる拷問めいた快感とは裏腹に、瞬の瞳はとろんと胡乱に溶けていた。
「……はじめは」
耳元に触れる吐息。恭司の声が鼓膜に吹きこまれる。
「お前に無理させてるのがわかっていたから、そうした、苦しそうな顔をみてるのがつらかった」
「え、っ、あっ♡」
「でも今は、癖になってきてる」
「くせっ、ぇ、なにっあぁあ゛っ♡♡」
「おれで精一杯になってるお前がかわいいって言ってるんだ」
「──かっ、」
さっきは、言葉の意味すら知らないみたいな顔をしてたくせに。いまの言葉、毎日寝る前に反芻しよう。そうこころに決めるも、アナルを掻き回される快楽に一瞬で決意が飛びかける。
「だから、お前も癖になればいいだろ」
「あぅ゛っ、っ、っ♡」
「このくらいイかないと満足できないようになれよ」
耳に下唇を掠めながら、恭司が囁く。
「そうしたら、距離がはなれていても、俺から離れる気にはならないだろ」
その思考回路には覚えがあった。
「──きょ、うじさ……っあぁあ゛!!」
待ってこれ、逆に快楽調教されてないか?
身を捩って振り返ろうとしたところで深い角度に穿たれて、頭がぺしゃりとシーツに落ちた。前立腺を抉る角度で繰り出される抽挿。宣言通り、快楽を染み込ませるようなうごきに、どこにも刺激を散らせず高まるばかりのからだが危険信号をかき鳴らす。
「あっ、あ、あ゛ぁあっ♡♡ もうっ♡ もうな゛ってますっ♡♡ もう恭司さんしかむりっ、こんなされたら戻れないっ、恭司さんだけだからっ、あ゛ぁあああんっ♡ だからきもちいいとこ虐めるのやめてっ♡ そこだめっ、だめ、ぇ゛……ッッ!!!」
深い絶頂に戦慄く中、弱いところを小刻みに穿たれて、絶頂からおりてこれなくなる。
「───ア゛、ぁああ゛あっ!! い゛やぁっ♡ やだっ、な、んでそこばっかぁ゛っ♡♡ きもちいいところだめっ♡♡ ほんとに、だめっ、へんになるっ、っ~~~~~♡♡」
泣きのはいった懇願に、恭司はスプリングを軋ませた。身を寄せて、……ここを、と耳元で囁く。
「突くと、中がうねって、きもちがいい」
熱く、湿った吐息。快楽に濡れた声。首を捻ると、鼻先が触れそうな距離で目が合った。
「……じゃあ、もっと、突いてください」
恭司の頬が、ふ、と緩む。瞬の額に汗で貼りつく髪を掻きあげ、唇を落とす。
「っ……恭司さん、っ、ん……!」
腰を引いた彼に、待って、と縋る。
「あの、顔、もっとちゃんと、みてたいです……」
ちゅぽんっとペニスが抜かれ、からだを返された。恭司は瞬のからだに覆いかぶさり、後孔に先端を宛がった。
「っ、あ……!」
勃起が熱い窄まりを満たしていく。彼の首に手を回し、腰元に足を絡ませた。
「……瞬」
「あっ、っ──恭司さんっ♡」
恭司が腰を引き、打ちつける。じゅぽじゅぽと淫猥な水音を立てながら揺さぶられる。
「──す、すきっ、恭司さんっ、すきです……っ♡」
快感に振り落とされないよう、瞬は自分を満たす体温にしがみついた。互いの乱れた吐息が触れあう。粘膜を擦られ、達した後孔が肉棒に絡みつく。意識して締めつけると、恭司の吐息が上擦った。自分を見つめる、せっぱ詰まったような表情に心臓を掴まれる。彼のために開いたそこで、おれで、感じてくれてることが嬉しくて、たまらずに首をしめる勢いでぎゅうっと抱きつくと、うぐ、と唸った。その声も、それでも腕を振りはらわず、止めずに好きにさせてくれるところもすき。
「すきっ♡ すきですっ、恭司さん、すきっ、だいすきっ、っ、あっ、あぁあっ♡♡」
余裕のない律動に激しく揺さぶられ、快感であたまがぐちゃぐちゃになる。あられもない声でひたすらに彼を呼んだ。答えるように名前を呼ばれると、胸の奥が熱くなって後孔がきつく収縮をくり返す。
「んん゛っん、ん────♡♡!!」
腰を強く押しつけられる。なかに熱いものを感じながら、瞬の意識は白ばんでいった。
「院からだな」
シーツに沈んだ身体。瞬の髪を指先に掬いながら、恭司が言った。
「向こうには。行くにしても」
じゃあ、もうしばらくは一緒にいられる。とおもう気持ちと、行くには行くのかよ、という気持ちが頭のなかでぶつかり、対消滅した。
「お前もきたらいいだろ」
「そんな、軽々しく…...」
ふるりと頭を振って指先を払い、
「いいです。あんたのケツばっか追いかけてるのが、よくないのもわかってる。あんたがおれにはやく会いたいってしっぽ巻いて帰ってくんの待ってます」
彼の胸元に身を寄せる。とくとくと伝わる鼓動。顔をあげれば重なる視線。
「……ん」
やさしく触れる唇が、口下手な男の愛情表現だった。知ってたくせにな。思いを受けいれてもらえるだけで、それだけで十分だったのに。寂しさにふくらんだ欲張りが、体温に溶けていく。
「ん……っふ、あ、まってください、あんまりすると、その、反応しちゃうんで」
「……そうだな」
「恭司さんも? はは。じゃーもう一回します?」
冗談だった。
「いいのか」
軋むスプリング。覆いかぶさる影に、
「や……」
しぬのでは?と察するも、
「……瞬」
情欲を灯す瞳を前に一瞬で陥落する。
惚れた弱みというディスアドバンテージ。それを抱いた時点で、勝敗を決するまでもなく白旗は自分のものだった。
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