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告白編
4-3
しおりを挟む「なにそれ」
「なんか、乳首につけるやつ」
「ち」
「そう、こうやって……」
「いやいやいや」
胸元に近づく手を叩き落とす。
「まじでなに?」
「吸引器。乳首用の」
「な、んで、そんなもんがここにあんの」
「バイト代で買った」
「ばっっかじゃねえの!!?」
颯介は顔を真っ赤にして「むだなもん買ってんじゃねえよ!」と喚いたが、岳は「ムダじゃない」と即座にかぶりを振った。
「なー……我慢しなくていいっつった」
「い、いったけど、あれは性欲を我慢しなくていいって意味で、性癖を惜しみなくだしてきていいって意味じゃない」
「なるほど」
「なるほどじゃねーよ」
しかし引かない。依然として岳の指につままれた淫具を前に、
「……なんでそんなんしてーの」
たじろぎながら問いかける。
「おまえさ、乳首で感じるのはクスリのせいで、普段はあんまりっつってたじゃん」
「えぁ、あ、うん」
「それってなんかでも、悔しいだろ。おれの手でそういうの、ぜんぶ上塗りしたい」
「……そ」
「あとふつうに乳首にこれつけてるとこエロいだろうから見たい」
こいつに恥とかないのかな。颯介は漫然とおもった。
というか、おれが気にしすぎ……身がまえすぎなのか?
「でも颯介がイヤならしないし、そういうのもちゃんと言ってほしい」
したいか、したくないかは、正直わからない。でもしたいと言われるのは、
「……金だして買ったものを使わずに捨てろとはいわねーよ」
胸元に垂らされたローションを塗り広げられる。
「んっ……っ、つーかさ、それどう使うの?」
「これで、乳首を、吸う」
「痛そう」
「大丈夫。試したけど痛くはなかった」
「試したのかよ」
でもおれじゃあ小さすぎて、とぼやきながら、岳は吸引器のゴムポンプを指で潰した。そしてその下部に取りついた吸盤を乳首に被せる。
「お、ジャストフィット。で、このまま吸いあげて」
「ひっ」
ポンプを凹ませていた指が離れて、ぷくっと風船の形に戻る。空気が抜かれて、根本から乳首が吸いあげられた。
「っ、っ……」
「どう?」
「なっ、なんか、引っ張られてる、ってかんじで、」
じんじんする。玩具は二対になっていて、もう片方にも同様につけられた。
「んぅ……っ」
刺激に反応して、吸引器のなかで勝手に乳首がふくらんでいく。そうすると更に引っ張られる感覚が強くなり、じっとしていられずにもぞもぞと膝をすり合わせる。
「きもちいい?」
「わ、わかんない」
「こっちは勃ってるけど」
触れられてはじめて、自身が反応していることを知った。頬が熱くなる。乳首はそのままに岳は緩く陰茎をしごきだした。
「んん……、んっ……」
唇を首筋に落とし、鎖骨をつたい、胸元まで落ちていく。ゆるやかな愛撫に煽られて、はあ、と息があがる。じわじわと性感が高まっていく。それにつれて、突起の疼きも大きくなっていく。
「っふ、……ぁ、っ♡」
カウパーに濡れた亀頭を撫でられて、ビクンと背が震えた。胸の玩具も一緒に揺れて、焦れったい感覚のなかに甘い刺激が走る。
「んんっ……♡」
底の深い、透明の吸盤のなか。赤く膨らんだ突起の様子がありありと見て取れて、その変態的な絵に妙な熱が募っていく。
「なっ、なあ、もういいだろ、外せって」
「もうちょっとだけ……」
「あっ♡ ばかっ、揺らすな……!」
指先で上部のポンプを突かれる。意図的な振動が突起に響く。
「やぁっ、あっ、あっ♡」
つん、つん、と弾かれる。そのたびに締めつけられた突起が根本から揺さぶられて、びく、びく、と肩が跳ねる。いつの間にかペニスに触れる手はなくなったのに、渦巻く快感は増していくばかりだった。
「あっ♡ も、まじで、やめろって」
「痛い?」
「いたくないけど、なんか……変だから」
「わかった。じゃあ取るな」
ポンプがつままれる。そのまま上にきゅっと引かれた瞬間、あ、やばい、と察するも遅かった。
「あっ、ま、まて、っ───♡♡!」
強く吸いつかせたままキュポンッと吸盤を抜かれる。じんとした疼きを濃縮したような強い痺れが駆け抜けて、颯介は衝撃に目を見開いた。
「ふぁ、ぁ゛っ♡ あ、や、がく、ゆ、ゆっくり……っ───ん゛ん゛んっっ♡♡」
もう一方も無慈悲にきゅぽんと剥がされて、びくんとからだが丸まった。立ち上がった颯介のペニスから先走りが漏れて、口がひくひくとわななく。
「はぁっ、はっ、ぁ……っ♡」
イっ……てない、ぎりぎりイってないけどイきかけた。みだれた呼吸に胸元を上下させる。その上につんと立つ乳首。卑猥に色づく突起を岳は熱心に見下していた。
「ゆ、ゆっくりて言ったのに……」
「悪かったって、ゆっくりな」
「え、あ、ちょ、えっ!?」
身を屈めた岳が舌をのばし、
「ひっ、ィ゛……ッ♡♡!?」
れろりと突起を舐めあげられた瞬間、背が大きく反り上がった。吸引器がはずれてもなお、突起に居残るじんじんとした疼き。触れずとも敏感になったとわかるその場所が、熱い舌に包まれて、ぬるり、ぬるりと上下左右に転がすように舐めしゃぶられる。
「ひいっあぁあ゛ッ♡♡ ああっ♡ だめ、だめっ♡♡」
全身の力が抜け落ちそうな快感だった。
「やっ、や゛ぁ、あんっ♡ 岳っ、だめ、やばいっ、舌だめっ、ぇっ~~~~あぅ゛っ♡♡!?」
放置されていたもう一方の突起を、指の腹に潰される。ぐりぐりと押しこみ、小さい円を描くようにして弄られる。
「ひァ゛、ア゛ッ、あ……♡♡!」
敏感な神経が密集した小さな突起を、別々の刺激で両側からなぶられて、奥の方から急速に熱いものがこみあがってくる。
「……っや゛、それだめっ♡ りょうほうだめっ♡♡ ほんとにっ……ぃ゛、くるっ、きちゃう、から゛っ、あっ、あ───あ゛あ゛あ゛ッッ!!」
ドクンと、深い絶頂が小さな突起に迸る。熱い、あつい、熱が血流に乗ってビクビクと突起をめぐり、快感をそこに滞留させる。ひっ掴んだシーツに皺を寄せながら、颯介は溢れる快感に打ち震えた。
「はぅっ、う、ん……っ♡」
「イッた?」
「ん、ぅ゛」
「颯介」
「い、イった……」
岳は口元を緩めて、よしよしという顔をしてから身を起こした。その下半身でまた、奮い立つ肉棒。
「な、颯介。もう一回いれていい?」
現金だ。まだ余韻でいっぱいいっぱいのくせに、それを見た瞬間に体内が疼きだす。こくりと頷くと、からだをひっくり返された。四つん這いになった尻穴にペニスがあてがわれる。
「んっ、っ、あ……」
ローションの滑りとともに、ぬるりと挿入される。その質量も熱も、さっきよりも馴染んできもちがいい。
「っは、あ、あっ、あっ……♡」
背後から揺さぶられ、颯介は枕に額を押しあてながら甘い声を漏らした。この体勢、やばい。いいところにちょうど当たってて、引き抜かれるときはカリの段差に抉られて、突かれるときは膨らんだ亀頭につぶされて、腰が勝手にカクカクと振れてしまう。どうしよう。さっきの余韻が抜けてないせいで、またすぐにイってしまいそうになる。でもこんな、それこそ何もされてない状態のくせに何回も、岳よりもずっとはやくイってしまうのは、
「んんっ……っ、っ」
気恥ずかしさに、快感をこらえようと拳を握る。それに気づいたのか、気づいてないのか、背に覆いかぶさってきた岳の手が胸元に伸びて、
「ひん゛っ♡♡!? ア゛ッッ♡ まっ、まて、まてまて、そこっ、っ~~~~~♡♡!」
ローションをまとわせた指先で、尖った乳首ををぬるぬると転がされる。同時に後ろから突かれると、もはや我慢なんてできるわけなかった。颯介はなりふり構わず身をよじろうとしたが、上から体重で押しこめられて、突起を弄る手も奥を穿つ肉棒も好き勝手によわい部分を暴いていじくる。
「やぁ゛っ──ああぁ゛あっ♡♡ まっ、まって、両方はむり゛っ♡ すぐイっちゃう♡ イっちゃうから……っ!」
「いいじゃん。イけよ。どこがいい? ここ?」
「あ゛っ♡!? アッ───、ッ~~~~~~♡♡」
小刻みに腰を揺らされて、敏感な部分をこそがれた。前立腺と乳首の快感がからだの中心で繋がり、バチンと許容を越えて弾けた。
「っ……ン゛、ッぐ、ぅ゛ん゛ん~~~~♡♡♡」
肉穴がびくびくと痙攣しペニスを締めつけて、後穴で味わう快感を長引かせる。全身ががくがくと振れて、体勢が保っていられずに肘が折れた。腰だけを高く上げた体勢。なにも言えず、ただ喉奥で鳴くばかりの颯介の耳元で、岳が問いかける。
「な。前にさ、おなじ体勢で素股したの覚えてる?」
「んぅ゛……っ、っ゛、わ、忘れるわけ、ない」
「はは。だよな」
ぴんっと乳首を弾く。
「あ゛んっっ♡♡」
「こうやって、触りながら中にいれたらきもちいいだろうなって思ってた」
きゅ、と親指と人差し指に乳首をつままれる。そのままにゅるんっと先っぽまで絞られた。
「ひん゛ッッ♡ あ゛っ、あぁっ♡ あっ、あ゛あぁあっ♡♡」
根本から乳頭まで、ローションの滑りを借りてにゅるにゅると繰り返ししごかれる。たまらない刺激に首を振り乱す。勝手にガクガクと腰が震えて、その動きを押さえつけるように背後から強く穿たれて、颯介のペニスからぴゅっと精液が漏れた。何度も激しく打ちつけられる。快感が止まらない。熱いところから戻ってこれない。
「やあ゛ああぁっ♡ あ゛っ、あ゛ーーっ♡♡ やっ、やだぁっ♡♡ だめっ♡ それだめっ、だめぇっ♡♡」
「だめ? それまじなやつ?」
「っ、や、あ゛んッッ♡♡」
「な、颯介」
「うぅ゛っ、っ、その聞き方ずるい……っ!」
濡れた瞳で背後をふり返る。岳は小さく笑って、目尻にキスを落とした。胸元に回した腕で身を寄せるように抱きしめながら、腰を深く打ちつける。
「ふっ……ぅんん゛っ♡ んっ、ん゛ー♡♡」
「颯介。きもちいい?」
「きっ、きもち、ぃっ♡ きもちいっ♡」
ぱちゅぱちゅと水音が立つ。熱を帯びた吐息が首元に触れて、あたまの中が官能で満たされる。
「っあ、っ♡ がっ、岳は、岳も、っちゃんときもちいいっ?」
視線をうしろに流せばすぐそこに、岳の顔がある。そのことが、なんでこんなに嬉しいんだろう。蕩けた瞳の問いかけに、岳は眦を下げて答えた。
「うん、きもちいい」
「ふ……、っ」
「颯介のなかも気持ちいいし、颯介がおれでよくなってんのも、みててすげーきもちいい」
ほんとうに、なんでこんなに、
「んん゛ん゛っ、ん゛ーーっ♡ がく、っも、イくっ、またいくっ……!」
「……おれも」
轟く肉壁を堪能するようにピストンされる。上下から溢れる恍惚が大きな波になって、意識を浚うほどの快感に襲われる。
「うぅ゛っ、んんんぅっ♡♡ んん゛~~~ッッ♡♡」
ぐっと腰を押しつけられ、なかが熱いもので満たされる。心地よい体温に包まれて、ぜんぶぜんぶ溶けてしまいそうだった。
ベッドの上。
颯介は端に転がった吸引機をひろいあげた。
「……」
これ、どっからでてきた
ちょうど手の届く範囲。ベッドサイドの棚。一番上の引き出しに伸ばした手を、上から岳がわし掴んだ。
「待てまてまて」
「見る権利があるだろ、おれには」
「でもほら、タイミングとかさ、あるじゃん」
「おまえさぁ」
じとりと目を細める。
「今日、つーかさっき。わざと一回ヤって、おれがへろへろになったところでアレ持ち出したろ」
「……」
「黙んなっ、やっぱここ一回開けさせ──わっ!?」
のばした腕の付け根、無防備な脇をくすぐられる。
「うはっ、ちょ、おまえずるいっ、あはははっ」
ベッドに転がりこんでもはなれない指に、ひいひいと鳴きながら反撃を繰り出す。急所の脇腹を狙い打ちするも負けじと抵抗してきてどったんばったん転がりあい、最終的に二人揃ってベッドに沈んだ。
「はあ、はあ、疲れた」
「いやまじで、夜中になにさせんだよ」
「岳が先にやったんだろ……つーかさ」
ころんと転がり、横の男を見つめる。
「目ぇ覚めた」
「な」
いまから眠れる気がしない。ふたりの視線が重なって、それから横に逸れていく。床に転がる、投げっぱなしのコントローラー。
「……続き、する?」
いたずらっぽく笑い、ながい夜を過ごした。変わったようで変わらない。明確な線引きだとおもっていた一線は、実際は地続きになった一つの道でしかなく、今までのことがなくなるわけでも、これからが保証されることもない。いったりきたり、こんな不揃いな日々でつむいでいく線だった。
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凄く面白くて一気読みしちゃいました🥺💓
岳くんが初めてじゃない可能性にショックを受けてる颯介くんが可愛すぎました🫶
颯介くんの考えすぎで実は岳くんも初めてなんじゃ…?と勝手に思ってますが、実際どうなのか気になります‼️笑
振る口実で付き合うんじゃなくて、そこは素直に"俺と付き合おう"って言えば颯介くん絶対喜んだのにっっっ
嫉妬で可愛い颯介くんを悲しませやがって岳のコノヤロウ(受けモンペが失礼しました!)
関係が拗れたまま終わってるので物凄く心が痛いですが、どうにか良い方に発展できるよう願っております💖
奏多くんは颯兄へのクソデカ感情により暴走してますが、愛ゆえなので許しましょう!!!(何様)
親友とそういう関係になるお話が性癖すぎるので、最高に楽しかったです!!!!
続きを全力でお待ちしております🙇
読んでくださってありがとうございます!
感想すごくうれしいです🙇
"俺と付き合おう"って言えば~←ほんまにそれです笑
ちょっと遅くなりましたが、またぼちぼちとつづきもあげていくので、また読んでいただけたら嬉しいです!
好きぃ…続きが楽しみすぎて…
もう、昼しか寝れない…(((昼夜逆転
ありがとうございます!また続きもいただけるとうれしいです
初めまして、こんにちは
お友達っていいですよね…!読んでいたら犯人の見当はつくけれど、やっぱりそれをきちんと楽しみたいです!
続きが更新されるのを心待ちにしております
はじめまして、読んでくださってありがとうございます。
次回でわかる……かもしれないので!また楽しんでいただけると嬉しいです!
コメントありがとうございました。