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前立腺編
2-6
しおりを挟む友人の顔に跨って、シーツに膝を突く。
「こっ……」
シックスナインの体勢だった。
「これは、さすがに、恥ずかしいんだけどっ……!」
「おー」
「おーじゃねえよ! 見てんじゃねえぞ!」
「いやいや今に限ってはおあいこだろ、これ」
おれだって恥ずかしくないわけじゃないんだぞ、と言われても。目の前にドンとそびえ立つ勃起に視線を移す。なにをそんなに興奮することがあるのか。完勃ちのペニスは触ってほしそうに脈打っていて、見ているとこっちまで変な気持ちになってくる。自分と同じ性器なのに。なんでこんな、ドキドキしてるのか。きっとあまりに異常なシチュエーションに頭がバグってるせいだ。
「っ、あ……!?」
突然後孔に侵入してきた指に颯介の背が跳ねた。
「っ……ちょっ、そ、そっち?」
「だってお前今ちんこじゃイけないんだろ? ならここ……」
「っ、っ……!」
ぐにぐにと前立腺を圧迫されて身悶えると友人のペニスが頬に触れた。この体勢に至った目的をおもいだして、颯介は手で竿を支えて舌を伸ばした。
「んっ……」
先端に舌を這わす。口内に広がる先走りの味に眉を寄せながらも亀頭を口腔に含んでいく。岳がかすかに息を飲むのがわかった。自分の愛撫に感じている。
「……ん、っ……ふ」
その事実にまた心臓が妙に高鳴って、芽生えた高揚から目を背けるように瞼を閉じた。先端に舌を絡ませながら手の平で竿をしごくと、口内のものが膨れあがっていく。呼応するように岳が指を蠢かす。敏感なしこりを指先にくりくりと弄られて、背筋に甘い快感が走り抜ける。
「んっ……っく、ぅうん……ッ、ふ」
「指、増やすな」
「んっ!? ……っ、ッ~~~~♡」
ぐぷりと二本目の指が括約筋を広げる。圧迫感に身じろぐが、きついのは縁だけで蕩けた肉壁は増した質量を喜んで咥え込んだ。
「ん゛っ、っ♡ んぅうっ、っ、ッ……!」
「っ……は、」
揃えた二本の指先に前立腺を揉み込まれて、腰がびくびくと波打つのが止められない。颯介も顔を沈めて起立を深く飲みこんでいく。すこし苦しい。しかし後孔にあたえられる刺激と口内に広がる雄の匂いに苦しさすら快感に上書きされていくようだった。
「……んん゛ッ、ふ……♡」
「颯介……っ、それ、いい」
「ふぐっ、う゛……!!」
「……は」
唾液を絡ませた舌で陰茎を撫でつけると、たまらないといったふうに岳がかくかくと腰を振った。そのピストンの動きにあわせて肉壁を擦る指を抽挿されると、まるで口内のものに犯されているような錯覚に陥った。
「ふくっ、っ……っ、ん、ッ♡」
この大きく脈打つものが、ひくひくと収縮する後孔に埋まったら。そうして今みたいに腰を振られて、きもちいい場所を突いたなら、とばかみたいな想像をした瞬間、深い快楽がゾクゾクと全身を駆け抜けた。
「……っ、っ~~~~~~♡♡!!」
なに、考えてんだ。
「んぐっ……う、んぅう゛……♡」
「すごい締めつけ。な、これ今イッてんだろ。はは。だんだんわかってきた」
「んん゛ッ、んっ、……ふ♡」
「で、こうするとほら、もっといいだろ?」
「んぐっ……♡♡!!?」
絶頂中の前立腺をトントンと一定のペースで叩かれて、自重を支える膝ががくがくと震えた。これ以上は無理だ。奥まで口内に迎え入れた勃起を、ぢゅう、と吸い上げる。
「うわっ、ちょっ、……ッ!」
焦りを含んだ声とともに強くペニスが脈打って、びゅくりと喉奥に精液を吐きだされた。慌てて起立から口を放す。
「うっ、げほっ、げほっ、っ、……!」
「うわっ、わり、大丈夫か?」
岳は上体を起こして、嘔吐く颯介の背を撫でた。
「うえぇ、ちょっとのんだ……」
「あ~あ~」
「にがぁ゛……」
「ちょっと待っとけ水取ってくるわ」
「あっ、おま、ちんこくらい仕舞えっ……」
ぶるぶるとちんこモロ出しで駆けていく男と精液で咳き込む自分で、もはやめちゃくちゃな光景に、颯介は噎せながら少し笑った。
「まじでこれ颯介のじゃねえの?」
岳が尿道ブジーを揺らしながら言った。
「ちがう」
「じゃあなんでここにあるんだよ」
「だから、知らねえって」
「いやいや……」
岳はひくりと頬をひきつらせてから、真面目なトーンで続けた。
「やっぱおかしいって。お前だってもう分かってるだろ? こんなん変だって」
颯介は押し黙った。
「本当に心当たりがないか? もしお前から言いにくいんだったら、おれが……」
「俺が、ちゃんと、するから」
大丈夫、ありがとう。颯介が言い切ると、岳は「……わかった」と答えたがその表情には些かの割り切れなさのようなものが見えた。
もう、ぜんぶ忘れてくれとは言えない段階にきていた。
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