発禁状態異常と親友と

ミツミチ

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前立腺編

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 隣合うことに若干の気まずさを覚えて颯介はベッドの端に腰掛けたが、岳は当たり前のようにその隣に尻を落とした。いや下に座れよ、と思うもあえて口にするもの変だった。
「それで? なにがあったんだよ」
 うあ、と言葉を選んでいるうちに、目の前の疑問が気にかかった。
「というか岳は? なんでうちにきたんだよ」
「え、あー……いや」
 岳は言い淀みながらも「お前、やっぱり今日ちょっと変だったから。様子みにきた」とぽつりと呟いた。
「岳……」
 じいんと友情が胸にしみる。岳は照れくさそうに頬をかきながら、おれのことはいいだろ、と促した。
「それで?」
 説明しようと先程までのことを思い起こした颯介の顔がじわりと赤らみ、その様子に岳が目を見張る。
「えっ、なに、なんだその反応」
「あ、いや」
「……颯介、もしかして、さっきのやつとエロいことしてた?」
「はあ!!?」
 今日一のでかい声がでた。
「いやちがっ、ちが……、わ、ないのか?」
「ア゛!?」
「いややっぱ違う! してないっ! してないけどおれが勝手にっ、わ!」
 両肩を岳にきつく掴まれて「どういうことだ」とまじめな顔で問われ、颯介は観念して今日に至るまでのことを吐露した。



「だから、その、奏多はなにも悪くないのに追い出すようなハメになって……」
 顛末まではなし終えると、部屋に沈黙が訪れた。岳はただ大人しく聞いていた。それが逆にいたたまれなくて、颯介はじっと自分の膝を見つめていたが、
「颯介」
 名前を呼ばれて顔を上げる。おずおずと岳の表情を伺うが、そこに一切のからかいの色がないことに心底安心して、ずっと張り詰めていた糸が緩んでいくのを感じた。
「岳……おれのからだ、また変になっちゃった」
 どうしよう、と縋られた岳は眉根を寄せて、しばし思案するような、自分のなかの何かと戦っているような様子で唸りをあげたのち「……おれは何をしたらいい?」と尋ねた。
「わ、わかんねえ。前と違って、なんつーか、わかんなくって」
「その、むずむずする、ちんこの奥? って、具体的にどこ」
「どこって、ほんとにこう、そのまんま……ちんこの根元より下の、奥の方が……」
「わかった」
 ビッと立てられた親指に、岳……!と期待の目を向けたが、文明の利器を取りだした友人に颯介は気の抜けた笑いを漏らした。
「なにわらってんだよ」
「いや、同レベルで安心した……」
 しばらくネットの海をさまよったのち、岳はスマホを置いた。
「その疼くのって痒いとかじゃなくて、きもちいい感じの疼きなんだよな」
「あ、う、」
「今更恥ずかしがんなって」
「……そう、そうです」
「颯介、前立腺って知ってる?」
 岳の手が膝を掴んだ。そのまま押し開くように手前に引いてから、もう一方の手で会陰の辺りを押し込んだ。
「ひゃっ!?」
「この辺り。うずく場所もここじゃね?」
「え、あっ……うん」
 岳の指先が押さえる場所。ちょうどその奥が疼きの発信源だった。そうして表面から突かれると、ムズムズとした感覚が込みあがる。
「この前立腺を刺激するには、ケツから押しこむか……」
「ケツ!?」
「尿道から直接刺激するか」
「ニョ……!?」
 どっちがいい?と問われて颯介の頭は弾けた。
「あ、でも尿道からの場合は専門の器具がいるみたいで……」
 その時、岳はふとなにかに気がついた。ベッドの端に転がるもの。それを手に取り「うお」と声を上げた。
「あるじゃん。なんだよ。もう用意してたのか」
 目の前にさし出された細長い金属の棒。なにがなんやらわからず混乱する颯介に「これを尿道からいれたら奥にある前立腺を刺激できるんだって」と岳が言ってのけた。
「──ちがっ、ちがうちがうッ! おれそんなん知らない!!!」
「いやもういいって。わかったから。結局自分でやろうしてできなかったんだろ? 恥ずかしいのはわかるけど、あんままどろっこしいことすんなって」
「ちがうぅ゛……っ」
 しかし布団のなかからローションまで出てきて、言い訳が立たなくなった。
「じゃあ颯介。とりあえず脱げよ」
「あう、あうぅう……」
「そんなゾンビみたいな声ださなくても大丈夫だって」
「でもそれ、それ、尿道って……」
「ちゃんとしたら痛くない、みたい、だけどまず勃起させないといけないから」
 壁に背を預けて膝を立て、前をくつろげる。それじゃあと颯介の前に陣取った岳が手を伸ばしてきたが、それは自分でするから!と制した。
「っ……」
 とはいっても見られながらなんて、と躊躇する気持ちを裏切るように羞恥に煽られたペニスはシゴけば簡単に勃ちあがった。
「……うっ……っ、く」
「べつに、なんかもうイケそうじゃん」
「イけ、ねっ……こっから上にいけなくって」
「ほんとに?」
 岳の手が下りてきた。颯介の手のひらを包むように重なり、起立をごしごしと遠慮なく扱きだす。
「っあ゛!? 岳、ちょっ、やめろ……っ!」
 制止の声を無視して、射精をうながすように手淫をつづけられる。先走りがとぷとぷと溢れて滑りが良くなり、友人の手に与えられる快感と溢れる切なさに颯介は必死に身を捩った。
「ひぐっ、う゛~~~!」
「……ほんとだ」
「だっ、だから言ってるだろっ」
「ここ、すげーひくついてる」
「ぅひっ!?」
 尿道口を親指で擦られて、腰がぬけ落ちそうな快感に颯介はシーツを蹴りあげた。
「ア゛……ッ!」
「あ、わるい」
「っ……っ、」
 イけそうでイけない。ずっとその狭間におしとどめられた身体は、もう限界だった。
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