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乳首編
1-1
しおりを挟む「っ、ぁ……ッ……!」
かり、かりと爪でひっかく。一瞬の満たされる感覚。それを塗りつぶす勢いで広がる疼き。耐えきれずまた掻く。またうずく。永遠のループに絶望し、颯介はうぅ、と背を丸めた。
「はっ……も、ゃだ……」
情けなさに涙がにじむ。トイレの個室に座りこみ、ひとりで喘いで、自分は何をしているんだ。もうやめたい。もう帰りたいという思いをかき消すように疼く。疼いて仕方ないのに──
「ふっ……」
昼休み終了五分前のチャイムが鳴る。
騒がしい外の喧騒を耳にしながら、颯介はいっそ切り落とせば、とまで思いつめていた。
始まりは今朝。起床と同時、すこしの違和感。
「蚊に刺された」
乳首が痒い。
それも両の乳首が。ピンポイントに突起を吸われたこともさることながら、平等に両乳首いかれた事実にささやかな奇跡を感じる。学校に着いたら友人に言おうと颯介はのん気に家を出た。
「颯兄。おはよう」
門先で隣人に声を掛けられ、はよ、と片手を上る。
「朝に会うの久々だな」
「ね」
最近背を抜かれた一個下の幼馴染。
育ち盛りの彼は立ち止まったまま、じ、と颯介を見つめたが、
「颯兄さぁ」
「ん?」
「……や、なんでもない。もう行くね」
すぐにそっぽを向いて行ってしまった。高校は別。以前ほど気軽に遊ぶこともなくなった。せっかくだからもう少し話したかったな、と後ろ髪引かれつつ颯介も学校へと向かった。
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