78 / 82
第九章 省吾の一途な愛
先生、俺は誰からも愛してもらえないのかな
しおりを挟む エミリアの乗った馬車は、御者のマルコが馬を巧みに操り、父方の祖父であるグランツ・オロロージオの工房に急いでいる。
エミリアは左手首の内側の腕着け時計をチラッと見た。
「急げばカンタラリア方面行の乗合馬車の時間には間に合いそう……」
エミリアの腕着け時計は、一見すると手首に金糸の刺繍入りの、白いリボンを巻きつけているようにしか見えない。
リボンはもちろん色を変えられるし、夜のパーティーとなるとリボンの部分を宝石のついたブレスレットに取り替えたりもできる。
実はこの腕着け時計は、世界でただ一人、エミリアだけが持っている時計だ。
なぜなら、エミリアが最初で最後に完成させたものだからだ。成長した今のエミリアには普通の時計は作れても、この小ささの腕着け時計はもう作れない代物である。
「エミリア様? オロロージオ様のお店で無くて、工房でよろしいんですね?」
「ええ、工房の方にお願い。おじい様もそこにいらっしゃると思うしね」
エミリアの言うおじい様、正確には父方の祖父は、グランツ・オロロージオ男爵。リンデネート王国の一代限りの名誉貴族。
元は平民の時計職人だった。
建築物の大時計や柱時計、懐中時計しかなかった世の中で、初めて腕着け時計を発明し、実用化・製造した男。
それだけでは王家から爵位を賜る程ではないが、グランツの功績は腕着け時計の応用でもある。
貴族男子となれば、懐中時計を持っているが、こと戦場において、いちいち懐中時計を取り出して確認することなどできなかった。
「エミリア様、もう間もなく到着しますよ」
「ええ、ありがとう。私が降りたら、都内をうろうろしてから帰ってちょうだい」
「へ、へぇ」
グランツの功績は、騎士が身につける籠手や手鎧に時計を組み込む工夫と言うか、発明をしたこと。
これによって、本陣にいるような指揮官・幕僚以外にも、現場の指揮官級の騎士も容易に時間が把握でき、時間を元に作戦の立案・実行をするという、戦争の仕方さえ変え得る実績を残したことで、国王陛下から名誉爵位を賜ったのだ。
実際、この発明以降リンデネート王国は、戦争では負け知らずだ。
ガラガラガラ、ガラッ。
「エミリア様、到着致しました」
「ありがとうマルコ。さっき言ったように色々回ってから帰ってね。私が何処で降りたかも内緒よ?」
「はい。お任せを」
エミリアは馬車が動き出すのを確認して、王都郊外にあるグランツの工房に入っていく。
コンッ! コンコロ!
木製のドアチャイムが鳴ると、グランツも職人達もエミリアに気づいた。
グランツは、男爵位を賜り貴族街に時計店の出店を許された後も、店ではなく工房にいて職人達と時計を作っている。
「エミリア! そんな恰好でどうしたんだい? 今日はパーティーのはずじゃ」
グランツが作業台を離れ、エミリアの元へ進みかける。
「――ごめんなさい! ご挨拶したいのだけど……急いでいるの!」
(淑女のマナー違反だけれど、ご挨拶は無しでアレを先に持ち出さないと!)と、祖父に申し訳ないと思いつつも、駆け足で工房の奥に向った。
ビリリッ! ツーーー!
(ああっ! ドレスが引っかかってしまったわ)
慌てて走るエミリアのドレスが、工房のテーブルに引っかかって裂けてしまった。
(でもいいの、このドレスはアデリーナのドレスを仕立て直したもの。いわばお下がりだし……)
「ああエミリア! 綺麗なドレスが裂けてしまって!」
「おじい様、いいのです! ちょっとお待ちになってね」
工房の奥の小部屋には、エミリアが小さい時から使っているエミリア専用の作業机がある。
彼女はそこに向かい、椅子を引き出して机の下を見た。
エミリアは、そこに旅支度のされた小さなトランクと、着替えの入った麻袋を隠しておいたのだ。
それを引っ張りだして作業机に乗せると、孫娘を心配して追ってきたグランツに声をかける。
「おじい様! 私、ここで着替えるので見てはダメよ?」
グランツは小部屋の入り口まで来ていたが、くるりと向きを変えてエミリアに背を向けた。
「えっ!? あ、ああ! 着替えながらでも話してくれるかい?」
(……話して大丈夫かしら? お母様に何も言えないお父様を怒ったりしないかしら?)
エミリアは、できるだけ穏便に聞こえるように話をしなければと思った。
「実はね……お家を出――急に留学することになって! お隣のカンタラリアに!」
「そんな急な事あるのかい?」
グランツは元々平民で、小さい頃から時計職人の徒弟に入ったので、学校――それも貴族の学校制度には詳しくない。
(騙すような真似をしてごめんなさい! おじい様……でも、リンデネート王国とカンタラリア帝国は仲はいいので、おじい様もそこは安心でしょう)
「そう! こんなに急なのは珍しいけれど、荷物は後からマルコが運んでくれるの!」
エミリアはそう言いながら、どちらかと言えば平民に見える洋服に着替えている。
ついでに、裂けたドレスを更に裂いて、自分の金髪をポニーテールにまとめるリボンにした。
ここで、エミリアが忘れ物に気づいてしまった。
(あっ! いけない! 靴を忘れちゃったぁ。……仕方ない! このヒールで行くしかないわ!)
今まで着ていたドレスを作業机の下に押し込めて、空になった麻袋に、トランクを入れる。
平民の恰好をしたエミリアが、綺麗なトランクを持っているのもおかしいかなと思ってのことである。
エミリアは、これで靴はともかく動きやすい服装にはなった。
(でも靴……いいえ、ここでお金は無駄にできないわ! 逃げ果せてからでいいわ)
「エミリア、本当に大丈夫かい? 私に何かできることはあるかい?」
グランツは一八〇センチメートルと家族の中で一番の長身で、シャツを腕まくりして出しているがっしりとした腕でエミリアの肩を包み、優しい碧眼で見つめて聞いた。
(おじい様……いけないっ! おじい様と目を合わせていると、涙が溢れてきてしまう)
グランツと父・リンクスとエミリア、この三人は揃って金髪碧眼で、連綿とグランツの血が流れている事が分かる。
兄・クリスは瞳の色が母のマリアンやアデリーナと同じヒスイ色だが、顔や髪のクセはグランツに似ている。将来ダンディーになるだろう。
「大丈夫ですよ! 留学するだけですよ? もう、心配性なんだから~」
エミリアはグランツに心配をかけてはいけないと、心に言い聞かせて気丈に振舞う。
(それに……おじい様からは、もう十分すぎるモノを頂いているわ……。時計作りの基礎は完璧よっ!)
「いけない! もう時間だわ。おじい様、落ち着いたらお手紙を送りますね? どうかお元気で」
「ああ、エミリアも元気でな。おじいちゃんはエミリアの味方だからな!」
(ありがとう……おじい様)
エミリアは心の中で、グランツに今までの礼を言い、グランツの目を見て、しっかり頷いた。
コンコロッコン!
グランツの工房を出ると、エミリアは「よしっ!」と気合を入れて、乗合馬車の停留所に向かった。
(でも……トランクを入れた麻袋を抱えて歩くのって窮屈だわ。靴もヒールだし……)
「カンタラリア方面はこっちだよー。もうすぐ出発だよー!」
「な、何とか間に合ったようです。はぁっ、はぁっ」
幸い乗合馬車にはエミリアの乗るスペースは残ってるようだった。
カンタラリア行きと言っても、距離的に直通というわけにはいかない。
まずは今日の目的地の宿場町までの運賃を支払って……着いてから明日の宿場町からカンタラリアまでの分を予約する形だ。
(これで、今までの運命から抜け出せるっ!)
客車は木のベンチで座り心地が悪いが、気にしてはいられない。
エミリアは、洋服に似合わない靴をジロジロ見られてはいないか、気が気でなかった。
(えーい! 気にしてはいられないわ! 堂々としていれば誰も気にしないわ! 頑張れ私)
「じゃあ出発だよー。忘れ物はないかー?」
エミリアはこの掛け声に、大事な事を思い出した。
(はっ! ルノワ!)
そして、心の中でルノワに呼びかける。
(ルノワ? ついて来てる?)
(シャー!)
エミリアは、ルノワがベンチの下、エミリアの麻袋と他の客の荷物の間にいるのを確認した。
(忘れていたわけではないの! ちょっと自分のことで精一杯だったの……ごめんね。さっ! 私のお膝においで~)
(ニャオ)
ルノワがエミリアの膝にピョンっと乗って来て丸くなる。
この子は猫のルノワ。エミリアにだけ見える尻尾が二本の黒ネコである。
エミリアは左手首の内側の腕着け時計をチラッと見た。
「急げばカンタラリア方面行の乗合馬車の時間には間に合いそう……」
エミリアの腕着け時計は、一見すると手首に金糸の刺繍入りの、白いリボンを巻きつけているようにしか見えない。
リボンはもちろん色を変えられるし、夜のパーティーとなるとリボンの部分を宝石のついたブレスレットに取り替えたりもできる。
実はこの腕着け時計は、世界でただ一人、エミリアだけが持っている時計だ。
なぜなら、エミリアが最初で最後に完成させたものだからだ。成長した今のエミリアには普通の時計は作れても、この小ささの腕着け時計はもう作れない代物である。
「エミリア様? オロロージオ様のお店で無くて、工房でよろしいんですね?」
「ええ、工房の方にお願い。おじい様もそこにいらっしゃると思うしね」
エミリアの言うおじい様、正確には父方の祖父は、グランツ・オロロージオ男爵。リンデネート王国の一代限りの名誉貴族。
元は平民の時計職人だった。
建築物の大時計や柱時計、懐中時計しかなかった世の中で、初めて腕着け時計を発明し、実用化・製造した男。
それだけでは王家から爵位を賜る程ではないが、グランツの功績は腕着け時計の応用でもある。
貴族男子となれば、懐中時計を持っているが、こと戦場において、いちいち懐中時計を取り出して確認することなどできなかった。
「エミリア様、もう間もなく到着しますよ」
「ええ、ありがとう。私が降りたら、都内をうろうろしてから帰ってちょうだい」
「へ、へぇ」
グランツの功績は、騎士が身につける籠手や手鎧に時計を組み込む工夫と言うか、発明をしたこと。
これによって、本陣にいるような指揮官・幕僚以外にも、現場の指揮官級の騎士も容易に時間が把握でき、時間を元に作戦の立案・実行をするという、戦争の仕方さえ変え得る実績を残したことで、国王陛下から名誉爵位を賜ったのだ。
実際、この発明以降リンデネート王国は、戦争では負け知らずだ。
ガラガラガラ、ガラッ。
「エミリア様、到着致しました」
「ありがとうマルコ。さっき言ったように色々回ってから帰ってね。私が何処で降りたかも内緒よ?」
「はい。お任せを」
エミリアは馬車が動き出すのを確認して、王都郊外にあるグランツの工房に入っていく。
コンッ! コンコロ!
木製のドアチャイムが鳴ると、グランツも職人達もエミリアに気づいた。
グランツは、男爵位を賜り貴族街に時計店の出店を許された後も、店ではなく工房にいて職人達と時計を作っている。
「エミリア! そんな恰好でどうしたんだい? 今日はパーティーのはずじゃ」
グランツが作業台を離れ、エミリアの元へ進みかける。
「――ごめんなさい! ご挨拶したいのだけど……急いでいるの!」
(淑女のマナー違反だけれど、ご挨拶は無しでアレを先に持ち出さないと!)と、祖父に申し訳ないと思いつつも、駆け足で工房の奥に向った。
ビリリッ! ツーーー!
(ああっ! ドレスが引っかかってしまったわ)
慌てて走るエミリアのドレスが、工房のテーブルに引っかかって裂けてしまった。
(でもいいの、このドレスはアデリーナのドレスを仕立て直したもの。いわばお下がりだし……)
「ああエミリア! 綺麗なドレスが裂けてしまって!」
「おじい様、いいのです! ちょっとお待ちになってね」
工房の奥の小部屋には、エミリアが小さい時から使っているエミリア専用の作業机がある。
彼女はそこに向かい、椅子を引き出して机の下を見た。
エミリアは、そこに旅支度のされた小さなトランクと、着替えの入った麻袋を隠しておいたのだ。
それを引っ張りだして作業机に乗せると、孫娘を心配して追ってきたグランツに声をかける。
「おじい様! 私、ここで着替えるので見てはダメよ?」
グランツは小部屋の入り口まで来ていたが、くるりと向きを変えてエミリアに背を向けた。
「えっ!? あ、ああ! 着替えながらでも話してくれるかい?」
(……話して大丈夫かしら? お母様に何も言えないお父様を怒ったりしないかしら?)
エミリアは、できるだけ穏便に聞こえるように話をしなければと思った。
「実はね……お家を出――急に留学することになって! お隣のカンタラリアに!」
「そんな急な事あるのかい?」
グランツは元々平民で、小さい頃から時計職人の徒弟に入ったので、学校――それも貴族の学校制度には詳しくない。
(騙すような真似をしてごめんなさい! おじい様……でも、リンデネート王国とカンタラリア帝国は仲はいいので、おじい様もそこは安心でしょう)
「そう! こんなに急なのは珍しいけれど、荷物は後からマルコが運んでくれるの!」
エミリアはそう言いながら、どちらかと言えば平民に見える洋服に着替えている。
ついでに、裂けたドレスを更に裂いて、自分の金髪をポニーテールにまとめるリボンにした。
ここで、エミリアが忘れ物に気づいてしまった。
(あっ! いけない! 靴を忘れちゃったぁ。……仕方ない! このヒールで行くしかないわ!)
今まで着ていたドレスを作業机の下に押し込めて、空になった麻袋に、トランクを入れる。
平民の恰好をしたエミリアが、綺麗なトランクを持っているのもおかしいかなと思ってのことである。
エミリアは、これで靴はともかく動きやすい服装にはなった。
(でも靴……いいえ、ここでお金は無駄にできないわ! 逃げ果せてからでいいわ)
「エミリア、本当に大丈夫かい? 私に何かできることはあるかい?」
グランツは一八〇センチメートルと家族の中で一番の長身で、シャツを腕まくりして出しているがっしりとした腕でエミリアの肩を包み、優しい碧眼で見つめて聞いた。
(おじい様……いけないっ! おじい様と目を合わせていると、涙が溢れてきてしまう)
グランツと父・リンクスとエミリア、この三人は揃って金髪碧眼で、連綿とグランツの血が流れている事が分かる。
兄・クリスは瞳の色が母のマリアンやアデリーナと同じヒスイ色だが、顔や髪のクセはグランツに似ている。将来ダンディーになるだろう。
「大丈夫ですよ! 留学するだけですよ? もう、心配性なんだから~」
エミリアはグランツに心配をかけてはいけないと、心に言い聞かせて気丈に振舞う。
(それに……おじい様からは、もう十分すぎるモノを頂いているわ……。時計作りの基礎は完璧よっ!)
「いけない! もう時間だわ。おじい様、落ち着いたらお手紙を送りますね? どうかお元気で」
「ああ、エミリアも元気でな。おじいちゃんはエミリアの味方だからな!」
(ありがとう……おじい様)
エミリアは心の中で、グランツに今までの礼を言い、グランツの目を見て、しっかり頷いた。
コンコロッコン!
グランツの工房を出ると、エミリアは「よしっ!」と気合を入れて、乗合馬車の停留所に向かった。
(でも……トランクを入れた麻袋を抱えて歩くのって窮屈だわ。靴もヒールだし……)
「カンタラリア方面はこっちだよー。もうすぐ出発だよー!」
「な、何とか間に合ったようです。はぁっ、はぁっ」
幸い乗合馬車にはエミリアの乗るスペースは残ってるようだった。
カンタラリア行きと言っても、距離的に直通というわけにはいかない。
まずは今日の目的地の宿場町までの運賃を支払って……着いてから明日の宿場町からカンタラリアまでの分を予約する形だ。
(これで、今までの運命から抜け出せるっ!)
客車は木のベンチで座り心地が悪いが、気にしてはいられない。
エミリアは、洋服に似合わない靴をジロジロ見られてはいないか、気が気でなかった。
(えーい! 気にしてはいられないわ! 堂々としていれば誰も気にしないわ! 頑張れ私)
「じゃあ出発だよー。忘れ物はないかー?」
エミリアはこの掛け声に、大事な事を思い出した。
(はっ! ルノワ!)
そして、心の中でルノワに呼びかける。
(ルノワ? ついて来てる?)
(シャー!)
エミリアは、ルノワがベンチの下、エミリアの麻袋と他の客の荷物の間にいるのを確認した。
(忘れていたわけではないの! ちょっと自分のことで精一杯だったの……ごめんね。さっ! 私のお膝においで~)
(ニャオ)
ルノワがエミリアの膝にピョンっと乗って来て丸くなる。
この子は猫のルノワ。エミリアにだけ見える尻尾が二本の黒ネコである。
0
お気に入りに追加
51
あなたにおすすめの小説

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
契約結婚のはずなのに、冷徹なはずのエリート上司が甘く迫ってくるんですが!? ~結婚願望ゼロの私が、なぜか愛されすぎて逃げられません~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
恋愛
「俺と結婚しろ」
突然のプロポーズ――いや、契約結婚の提案だった。
冷静沈着で完璧主義、社内でも一目置かれるエリート課長・九条玲司。そんな彼と私は、ただの上司と部下。恋愛感情なんて一切ない……はずだった。
仕事一筋で恋愛に興味なし。過去の傷から、結婚なんて煩わしいものだと決めつけていた私。なのに、九条課長が提示した「条件」に耳を傾けるうちに、その提案が単なる取引とは思えなくなっていく。
「お前を、誰にも渡すつもりはない」
冷たい声で言われたその言葉が、胸をざわつかせる。
これは合理的な選択? それとも、避けられない運命の始まり?
割り切ったはずの契約は、次第に二人の境界線を曖昧にし、心を絡め取っていく――。
不器用なエリート上司と、恋を信じられない女。
これは、"ありえないはずの結婚"から始まる、予測不能なラブストーリー。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~
菱沼あゆ
恋愛
念願のランプのショップを開いた鞠宮あかり。
だが、開店早々、植え込みに猫とおばあさんを避けた車が突っ込んでくる。
車に乗っていたイケメン、木南青葉はインテリアや雑貨などを輸入している会社の社長で、あかりの店に出入りするようになるが。
あかりには実は、年の離れた弟ということになっている息子がいて――。

社長室の蜜月
ゆる
恋愛
内容紹介:
若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。
一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。
仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。

愛しき夫は、男装の姫君と恋仲らしい。
星空 金平糖
恋愛
シエラは、政略結婚で夫婦となった公爵──グレイのことを深く愛していた。
グレイは優しく、とても親しみやすい人柄でその甘いルックスから、結婚してからも数多の女性達と浮名を流していた。
それでもシエラは、グレイが囁いてくれる「私が愛しているのは、あなただけだよ」その言葉を信じ、彼と夫婦であれることに幸福を感じていた。
しかし。ある日。
シエラは、グレイが美貌の少年と親密な様子で、王宮の庭を散策している場面を目撃してしまう。当初はどこかの令息に王宮案内をしているだけだと考えていたシエラだったが、実はその少年が王女─ディアナであると判明する。
聞くところによるとディアナとグレイは昔から想い会っていた。
ディアナはグレイが結婚してからも、健気に男装までしてグレイに会いに来ては逢瀬を重ねているという。
──……私は、ただの邪魔者だったの?
衝撃を受けるシエラは「これ以上、グレイとはいられない」と絶望する……。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる