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第ニ章 社長のマンションでお世話になるなんて

潤一郎にも辛い過去があった。

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潤一郎にも辛い過去があった。

好きになった女性を信じ切れず、自分の気持ちに素直になれなかった。

そして、真実を確かめなかったことを今でも後悔している。

五年前、潤一郎は二十歳、相手の女性は三十歳だった。

村藤コーポレーション御曹司と言う立場は、潤一郎に取って厄介だった。

本気で向き合ってくれる女性はいない。

ましてや、御曹司が故に、金目当ての女ばかりが寄ってくる。

その中で彼女は違っていた。

栗原由美子、彼女は保育園で働いていた。

その時、潤一郎は大学生で、財布を落としたのを彼女が拾ってくれたのがきっかけだった。

「あっ、財布落としましたよ」

由美子は駆け寄って、潤一郎に財布を渡した。

「ありがとうございます」

潤一郎は深々とお辞儀をした。

由美子はすぐにその場を後にした。

「あのう、待ってください」

由美子は声をかけてきた潤一郎をじっと見つめた。

「お礼をしたいんですが、時間ありますか」

(何?ナンパでもしてるつもり)
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