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第十七章 祐志の嫉妬

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倉庫がいくつか、立ち並ぶ場所だった。

外から覗くと、仁だけ目視出来た。

仁は銃口を自分のこめかみに当て、緊張が伝わる。

まゆはどこにいるんだ。

スマホから若林の声が聞こえる。

俺は倉庫の周りの建物を確認した。

雑居ビルの横に車が停めてあり、チンピラが何人かウロウロしていた。

俺はそいつらを叩きのめして、ビルの中に入った。

奥の部屋から若林の声が聞こえてきた。

俺はそっと中の様子を覗いた。

まゆの姿を確認した。

椅子に縛られて、気絶していた。

三発目の引きがねを仁が引いた。





その瞬間、俺は部屋の中に入り、若林を殴りつけた。

スクリーン越しに仁に合図をした。

「遅えよ、命がいくつあっても足りねえ、まゆは大丈夫か」

「ああ、まゆを連れてそっちにいく、外に待機してろ」

「了解」

俺はまゆのロープを解いて、抱きしめた。

「仁さん」

まゆの中に俺はいないのかよ。

俺はまゆを抱き抱えて、外に出た。

仁と合流して、その場を離れた。

俺はまゆを連れてマンションに戻った。

工藤組長にまゆの安全を連絡した。

「そうか、そうか、よかった」

「ちょっと手荒な方法だったから、後始末をよろしく頼む」

「やれやれだな、ちゃんと服部祐志に戻ったか」

「多分な、まゆがうわ言のように仁の名前を言っている、冷静でいられるか自信ねえ」

「おい、お前は堅気の外科医服部祐志だ、しかもまゆのお腹の子供の父親だ、しっかりしろ」

「そうだな」





俺はスマホを切った。

しばらくして、まゆが目を覚ました。

「まゆ、大丈夫か」

「祐志さん、仁さんは生きていますか」

「ああ、大丈夫だ」

「祐志さん」

まゆは俺に抱きついてきた。

「まゆ」

「ギュッと抱きしめてください、怖いの」

「もう、大丈夫だ」

俺はまゆを抱きしめた。

まゆは身体を震わせていた。

俺はまゆを抱きしめながら自分の気持ちを心の中で叫んだ。

まゆ、お前の中に俺がいなくとも、俺はお前を手放さない。

「祐志さん、ごめんなさい」

俺はまゆのこの言葉を俺に対しての決別と受け取った。

俺は何も答えず、曖昧にした。

「何か口に入れた方がいい、冷蔵庫の残り物で簡単なものを作るな」
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