俺様外科医の溺愛、俺の独占欲に火がついた、お前は俺が守る

仁の覚悟

「気が付いたかな、お嬢さん、いや、もうすぐ母親か、藤堂仁も父親になるのか」

この人も私を仁さんの女だと思ってるんだ。

「私は仁さんの女じゃありません、お腹の子の父親は違う男性です」

「まっ、奴が来ればわかることだ」

そんな時、藤堂仁が現れた。

まゆは若林組管理の倉庫に監禁されていた。

仁は誰もいないだだっ広い倉庫内でまゆの名前を叫んだ。

「まゆ、どこだ」

大きなスクリーンにまゆが映し出された。

「まゆ、無事か」

お互いの声も聞こえる。

まゆは仁に向かって叫んだ。

「仁さん、私は大丈夫です」

「今、助けてやるから、一緒に帰ろう」

若林は仁に向かって怒りをあらわにした。

「一緒に帰ろうだと、お前の人生はここで終わりだ」

若林は声高らかに笑った。

まゆは椅子に座らされて、両手を背中に縛り付けられていた。





「仁、俺はお前が憎くて、憎くて仕方ないんだよ、この世から抹殺したい」

若林は拳銃を取り出し、まゆのこめかみに当てた。

「今ここでお前の目の前で、この女を殺したら、お前はどうなるんだろうな」

若林は口角を上げて、ニャっと笑った。

「そんなことしてみろ、お前をぶっ殺す」

まゆは拳銃を突きつけられて、震えていた。

若林は笑いながら「強い口を聞いていられるのも、今のうちだけだ」そう言って、

若い奴らに指示を出した。

「おい、仁、これからその空間に拳銃を投げ込む、弾は一発しか入っていない、もうわかるよな、お前はロシアンルーレットをやるんだ、六発空砲だったら二人とも開放する、
でもたまたまあたっちゃったら、お前はあの世行きだ」

「やらないと言ったら？」

「この女でロシアンルーレットをやる、お前の目の前でこの女は死ぬ」

仁の答えは決まっていた。

必ずまゆを助け出す。

仁は心に誓った。



「分かった、やるよ」

えっ、仁さん、何言ってるの？

「まゆ、心配するな、お前の命は俺が守ってやる」

「仁さん、ロシアンルーレットなんてやめてください」

私が叫ぶと、若林さんは私に銃口を押し当てて怒鳴った。

「余計なこと言うんじゃねえ、仁がやらなければ、お前の命がなくなるんだぞ」

私は銃口を突きつけられると言う、はじめての経験に身体が震えていた。

「若林、まゆは堅気なんだ、銃を下ろせ」

「うるせえよ、この女に惚れたのはお前だろう」

仁さんは何も返す言葉がなかったように黙っていた。

惚れた？

私に？

嘘？

きっと自殺した彼女さんと私が重なったんだろう。

えっ、もしかして、彼女さんの後を追うつもり？

「さて、一発目、引きがねをひけ」

仁さんは銃口をこめかみに当て、引きがねに手をかけた。

「やめて、仁さん」