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不思議な出来事

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浜咲 琴葉 三十五歳。

コンビニでバイトの日々を送っていた。

ある日突然店に一人の男性が客として現れた。

その男性は毎日缶コーヒーを一本買って行く。

そして声をかけられ、デートに誘われた。

海斗 驍 二十三歳。

私より一回りも年下の彼の言葉を鵜呑みにはしなかった。

でも、彼との時間は心地よい。

彼といるとドキドキして心臓の鼓動が半端ない。

私はこの年まで、男性との付き合いは何度かあるが、消極的な性格のため前に進めない。

そう、私は経験が無い。

だから、余計に身構えてしまう。


はじめて彼が私のアパートに泊まった日、二人は結ばれた。

でも、いつ、別れる事になってもいいように、私は溢れるばかりの彼への愛情を封印していた。

次の日から、彼と連絡が取れなくなった。

店にも来ない。

やっぱりと不安は的中した。



それから私はある日を境に不思議な出来事に遭遇するようになる。

横断歩道を渡ろうとした時、信号が赤なのに、車が突っ込んで来た。

私は咄嗟の出来事に対応出来ず、その場に立ち尽くした。

もう、ダメと覚悟を決めた時、身体がふわっと宙に浮いた。

そして、私の身体は車道から歩道へと移っていた。

誰かが抱き抱えて私の身体を下ろしたように感じた。

でも誰もいない。

私は間一髪危険を回避出来た。

何が起きたんだろう。

そして、二、三日してまた不思議な出来事が起きた。

それは、仕事の帰り道、いつもは明るい大通りを通るのだが、この日は残業で遅くなり、

早く帰りたいと近道を選択してしまった。

人通りがなく、真っ暗な道を歩いていると、後ろから誰かが後をつけてくる気配を感じた。

私が足を止めると後ろの足音も止まる。

どうしよう、怖い。

私の目の前に一人の男性が現れた。

私はビックリし過ぎて、固まった。

後ろからついて来ていた気配は消えた。





「大丈夫?誰か後ろからつけて来たみたいだけど……」

その言葉に慌てて後ろを振り返ると、走って遠ざかっていく姿を確認した。

やっぱり、つけられていたんだ。

急に怖くなり、涙が溢れて来た。

彼はそっと肩を支えてくれた。

なんて暖かいの、なんて安心するんだろう。

「もう、いくら近いからって、この道は使っちゃダメだよ」

私は泣きながら頷いた。

「アパートまで送るよ」

そう言って、彼はアパートまで送ってくれた。

「ありがとうございました」

そう言って頭をぺこりと下げた。

頭を上げた時、もう彼の姿はなかった。

周りを見回しても見当たらない。

彼は誰なの?

そう言えば、私のアパートなんで知ってたの?

部屋が二階ってなんで知ってたの?

不思議な事が重なって、この時私は自分がおかしくなったと思った。
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