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第十七章 交錯する記憶

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「おはよう、由梨、よく眠れたか」

「雑誌の方ですよね」

「ああ」

「私、ずっと会いたく」

「由梨、そこに座って、コーヒー飲むか」

健吾はクロワッサンとコーヒーを差し出した。

「いただきます」

一口、クロワッサンを食べる。

(何で私、西園寺さんのマンションにいるんだろう)

「由梨、今日は俺は仕事に出かける、裕也にきてもらうから、心配するな」

「裕也さんって誰ですか」

何回も繰り返されるやりとりに、健吾は嫌気が差していた。

仕方ないかもしれない。

由梨は何で健吾が機嫌が悪いのか分からなかった。

でも、自然と言葉少なになって行った。

食事を終えると、由梨は食器を片付けて、部屋に引きこもった。

健吾が出かける時、声をかけたが返事をしなかった。

そのうち、裕也がマンションにやってきた。
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