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第十一章 由梨の記憶が消えた
④
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「はい、ここにいますよ」
由梨は健吾の顔を覗き込んだ。
「由梨に伝えなくちゃいけなかったんだ」
「なんですか」
「病院の担当医師によると、由梨は命に関わる病気ではないって」
「何のことですか」
「一年前、入院した時、命に関わる病気だと看護師さんが話していたからと心配していただろう」
「覚えていません」
健吾は由梨のアルツハイマー病のことをすっかり忘れていた。
でも、忘れていた方がいいこともあると、あまり気にせずに過ごした。
「健吾さん、私、一旦マンションに戻って、着替えとか取りに行ってきますね」
「由梨、一人で大丈夫か、裕也に送ってもらえ」
「大丈夫ですよ」
由梨は病院を後にした。
昼過ぎに病院を出たのに、もうすでに外は暗くなり始めていた。
(由梨、迷子にでもなったのか)
その頃由梨は道がわからなくなっていた。
その場にしゃがみ込んで、頭を押さえた。
由梨は健吾の顔を覗き込んだ。
「由梨に伝えなくちゃいけなかったんだ」
「なんですか」
「病院の担当医師によると、由梨は命に関わる病気ではないって」
「何のことですか」
「一年前、入院した時、命に関わる病気だと看護師さんが話していたからと心配していただろう」
「覚えていません」
健吾は由梨のアルツハイマー病のことをすっかり忘れていた。
でも、忘れていた方がいいこともあると、あまり気にせずに過ごした。
「健吾さん、私、一旦マンションに戻って、着替えとか取りに行ってきますね」
「由梨、一人で大丈夫か、裕也に送ってもらえ」
「大丈夫ですよ」
由梨は病院を後にした。
昼過ぎに病院を出たのに、もうすでに外は暗くなり始めていた。
(由梨、迷子にでもなったのか)
その頃由梨は道がわからなくなっていた。
その場にしゃがみ込んで、頭を押さえた。
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