78 / 109
第二十六章 真弓の企み
⑥
しおりを挟む
「何でしょうか」
「この間、取引先のパーティーがあっただろう」
「はい」
「その時、ある女性が俺に話しかけてきたんだ」
美希は黙って聞いていた。
「真弓さんだ」
美希の顔色が変わった。
「俺は全く記憶がなくて、真弓さんの話によると、美蓮を出産した時、
美希はマンションを出て行き、離婚届を送ってきたと、美希が留守の間、
蓮也のベビーシッターを引き受けて、その、なんだ、つまり俺と男女の関係になったと
言われた」
美希は手を小刻みに震わせていた。
「そうなのか」
「真弓さんと男女の関係になったかどうかは、私にはわかりません、
でも、蓮さんは否定していましたよ」
「でも、身体を重ねた事実はあるんだよな、どうして美希は許してくれたんだ」
「それは……」
美希は言葉を詰まらせた。
自分の夫が他の女性と身体を重ねたなんて、ひどい裏切り行為に他ならない。
離婚を申し出ることも、出来る状況だろう。
でも、美希は蓮を失いたくなかった。
いや、自分の勝手な気持ちで、蓮に不自由な思いをさせて、離婚届を突きつけたのだ。
そんな時、側で優しく支えてくれる女性がいたら、なびいてもおかしくない。
美希は自分の思いを蓮に伝えた。
「蓮さん、私、蓮さんを愛しています、はじめて会った時からずっと、
蓮さんを他の女性に渡したくなかったんです、だから……」
美希は涙が溢れて止まらなかった。
蓮は美希を引き寄せ抱きしめた。
「わかった、もう、何も言うな、美希の気持ちすごく嬉しいよ、
俺だって、美希を他の男に渡したくない」
蓮は美希にキスをした。
「この間、取引先のパーティーがあっただろう」
「はい」
「その時、ある女性が俺に話しかけてきたんだ」
美希は黙って聞いていた。
「真弓さんだ」
美希の顔色が変わった。
「俺は全く記憶がなくて、真弓さんの話によると、美蓮を出産した時、
美希はマンションを出て行き、離婚届を送ってきたと、美希が留守の間、
蓮也のベビーシッターを引き受けて、その、なんだ、つまり俺と男女の関係になったと
言われた」
美希は手を小刻みに震わせていた。
「そうなのか」
「真弓さんと男女の関係になったかどうかは、私にはわかりません、
でも、蓮さんは否定していましたよ」
「でも、身体を重ねた事実はあるんだよな、どうして美希は許してくれたんだ」
「それは……」
美希は言葉を詰まらせた。
自分の夫が他の女性と身体を重ねたなんて、ひどい裏切り行為に他ならない。
離婚を申し出ることも、出来る状況だろう。
でも、美希は蓮を失いたくなかった。
いや、自分の勝手な気持ちで、蓮に不自由な思いをさせて、離婚届を突きつけたのだ。
そんな時、側で優しく支えてくれる女性がいたら、なびいてもおかしくない。
美希は自分の思いを蓮に伝えた。
「蓮さん、私、蓮さんを愛しています、はじめて会った時からずっと、
蓮さんを他の女性に渡したくなかったんです、だから……」
美希は涙が溢れて止まらなかった。
蓮は美希を引き寄せ抱きしめた。
「わかった、もう、何も言うな、美希の気持ちすごく嬉しいよ、
俺だって、美希を他の男に渡したくない」
蓮は美希にキスをした。
0
お気に入りに追加
50
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
隠れドS上司をうっかり襲ったら、独占愛で縛られました
加地アヤメ
恋愛
商品企画部で働く三十歳の春陽は、周囲の怒涛の結婚ラッシュに財布と心を痛める日々。結婚相手どころか何年も恋人すらいない自分は、このまま一生独り身かも――と盛大に凹んでいたある日、酔った勢いでクールな上司・千木良を押し倒してしまった!? 幸か不幸か何も覚えていない春陽に、全てなかったことにしてくれた千木良。だけど、不意打ちのように甘やかしてくる彼の思わせぶりな言動に、どうしようもなく心と体が疼いてしまい……。「どうやら私は、かなり独占欲が強い、嫉妬深い男のようだよ」クールな隠れドS上司をうっかりその気にさせてしまったアラサー女子の、甘すぎる受難!
ドSでキュートな後輩においしくいただかれちゃいました!?
春音優月
恋愛
いつも失敗ばかりの美優は、少し前まで同じ部署だった四つ年下のドSな後輩のことが苦手だった。いつも辛辣なことばかり言われるし、なんだか完璧過ぎて隙がないし、後輩なのに美優よりも早く出世しそうだったから。
しかし、そんなドSな後輩が美優の仕事を手伝うために自宅にくることになり、さらにはずっと好きだったと告白されて———。
美優は彼のことを恋愛対象として見たことは一度もなかったはずなのに、意外とキュートな一面のある後輩になんだか絆されてしまって……?
2021.08.13

俺にお前の心をくれ〜若頭はこの純愛を諦められない
ラヴ KAZU
恋愛
西園寺組若頭、西園寺健吾は夕凪由梨に惚れた。
由梨を自分の物にしたいと、いきなり由梨のアパートへおしかけ、プロポーズをする。
初対面のヤクザにプロポーズされ、戸惑う由梨。
由梨は父の残した莫大な借金を返さなければいけない。
そのため、東條ホールディングス社長東條優馬の婚約者になる契約を優馬の父親と交わした。
優馬は女癖が悪く、すべての婚約が解消されてしまう。
困り果てた優馬の父親は由梨に目をつけ、永年勤務を約束する代わりに優馬の婚約者になることになった。
由梨は健吾に惹かれ始めていた。でも健吾のプロポーズを受けるわけにはいかない。
由梨はわざと健吾に嫌われるように、ある提案をした。
「私を欲しいなら、相手になります、その代わりお金頂けますか」
由梨は健吾に囲われた。
愛のないはずの優馬の嫉妬、愛のない素振りをする健吾、健吾への気持ちに気づいた由梨。
三人三様のお互いへの愛。そんな中由梨に病魔が迫っていた。
冷徹上司の、甘い秘密。
青花美来
恋愛
うちの冷徹上司は、何故か私にだけ甘い。
「頼む。……この事は誰にも言わないでくれ」
「別に誰も気にしませんよ?」
「いや俺が気にする」
ひょんなことから、課長の秘密を知ってしまいました。
※同作品の全年齢対象のものを他サイト様にて公開、完結しております。
Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
汐埼ゆたか
恋愛
絶え間なく溢れ出る涙は彼の唇に吸い取られ
慟哭だけが薄暗い部屋に沈んでいく。
その夜、彼女の絶望と悲しみをすくい取ったのは
仕事上でしか接点のない上司だった。
思っていることを口にするのが苦手
地味で大人しい司書
木ノ下 千紗子 (きのした ちさこ) (24)
×
真面目で優しい千紗子の上司
知的で容姿端麗な課長
雨宮 一彰 (あまみや かずあき) (29)
胸を締め付ける切ない想いを
抱えているのはいったいどちらなのか———
「叫んでも暴れてもいい、全部受け止めるから」
「君が笑っていられるなら、自分の気持ちなんてどうでもいい」
「その可愛い笑顔が戻るなら、俺は何でも出来そうだよ」
真摯でひたむきな愛が、傷付いた心を癒していく。
**********
►Attention
※他サイトからの転載(2018/11に書き上げたものです)
※表紙は「かんたん表紙メーカー2」様で作りました。
※※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる