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第二十六章 真弓の企み

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「何でしょうか」

「この間、取引先のパーティーがあっただろう」

「はい」

「その時、ある女性が俺に話しかけてきたんだ」

美希は黙って聞いていた。

「真弓さんだ」

美希の顔色が変わった。

「俺は全く記憶がなくて、真弓さんの話によると、美蓮を出産した時、
美希はマンションを出て行き、離婚届を送ってきたと、美希が留守の間、
蓮也のベビーシッターを引き受けて、その、なんだ、つまり俺と男女の関係になったと
言われた」

美希は手を小刻みに震わせていた。

「そうなのか」

「真弓さんと男女の関係になったかどうかは、私にはわかりません、
でも、蓮さんは否定していましたよ」

「でも、身体を重ねた事実はあるんだよな、どうして美希は許してくれたんだ」

「それは……」

美希は言葉を詰まらせた。

自分の夫が他の女性と身体を重ねたなんて、ひどい裏切り行為に他ならない。

離婚を申し出ることも、出来る状況だろう。

でも、美希は蓮を失いたくなかった。

いや、自分の勝手な気持ちで、蓮に不自由な思いをさせて、離婚届を突きつけたのだ。

そんな時、側で優しく支えてくれる女性がいたら、なびいてもおかしくない。

美希は自分の思いを蓮に伝えた。

「蓮さん、私、蓮さんを愛しています、はじめて会った時からずっと、
蓮さんを他の女性に渡したくなかったんです、だから……」

美希は涙が溢れて止まらなかった。

蓮は美希を引き寄せ抱きしめた。

「わかった、もう、何も言うな、美希の気持ちすごく嬉しいよ、
俺だって、美希を他の男に渡したくない」

蓮は美希にキスをした。

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