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第十八章 悪友 望月楓
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ある日、望月は蓮のマンションへ向かっていた。
蓮と話した後、どうしても美希に会いたくなったのだ。
「美希ちゃん、元気?」
「望月さん、お久しぶりです、その節はいろいろとありがとうございました、いつも助けて頂いて感謝しています」
「大丈夫、大丈夫、俺は美希ちゃんの影のナイトだから」
美希は望月の言葉にちょっと頬を赤らめて恥ずかしそうに俯いた。
その姿に、望月は美希を引き寄せ抱きしめたい衝動に駆られた。
だめだ、俺の美希ちゃんへの気持ちは封印すると決めたじゃないか。
望月はグッと堪えて美希と距離を取った。
「麗子さんはお元気ですか」
「ああ、わがままで困っているよ」
美希はニッコリ微笑んだ。
「望月さんに甘えているんですよ」
「じゃあ、美希ちゃんも蓮にわがまま言うのか」
「えっ?」
「蓮に甘えているだろう?」
美希の顔色が変わった、望月はそのことを見逃さなかった。
「蓮に言えない心配事があるんなら聞くよ」
その時、蓮也が大きな声で泣き始めた。
「蓮也、どうした?男は泣いたらだめだぞ」
望月は蓮也を抱き上げてあやし始めた。
蓮也はピタッと泣き止んだ。
「凄いですね、望月さんは子供が好きなんですね」
「いや、弟達の面倒をよく見ていたからな、蓮だって自分の子供なんだからあやしてくれるだろう?」
美希はちょっと表情が曇った。
「蓮はあやしてくれないのか」
「蓮さんが抱っこすると余計に泣いちゃって、すぐ私に渡しちゃうんです」
「あいつは一人っ子だから苦労知らないからな、あっ、お互いに苦労するな」
「望月さんといると安心します」
美希はニッコリ微笑んで望月を見つめた。
しばらくの間沈黙になり、望月も美希を見つめた。
「そんな事言われると奪いたくなる」
二人は見つめ合った。
その時、望月が抱っこしていた蓮也が、泣き出した。
望月はハッと我にかえった。
「やべえ、蓮也に怒られた」
望月はあははと笑い、望月の言葉に美希もふふっと笑った。
「美希ちゃん、蓮を愛しているか」
「はい、愛しています」
「即答かよ」
「望月さんも麗子さんを愛していますよね」
「俺は……」
望月が言葉を探していると、蓮也が泣き出した。
「また、怒られた、じゃあ帰るな、また来るよ」
「はい」
望月は蓮のマンションを後にした。
蓮と話した後、どうしても美希に会いたくなったのだ。
「美希ちゃん、元気?」
「望月さん、お久しぶりです、その節はいろいろとありがとうございました、いつも助けて頂いて感謝しています」
「大丈夫、大丈夫、俺は美希ちゃんの影のナイトだから」
美希は望月の言葉にちょっと頬を赤らめて恥ずかしそうに俯いた。
その姿に、望月は美希を引き寄せ抱きしめたい衝動に駆られた。
だめだ、俺の美希ちゃんへの気持ちは封印すると決めたじゃないか。
望月はグッと堪えて美希と距離を取った。
「麗子さんはお元気ですか」
「ああ、わがままで困っているよ」
美希はニッコリ微笑んだ。
「望月さんに甘えているんですよ」
「じゃあ、美希ちゃんも蓮にわがまま言うのか」
「えっ?」
「蓮に甘えているだろう?」
美希の顔色が変わった、望月はそのことを見逃さなかった。
「蓮に言えない心配事があるんなら聞くよ」
その時、蓮也が大きな声で泣き始めた。
「蓮也、どうした?男は泣いたらだめだぞ」
望月は蓮也を抱き上げてあやし始めた。
蓮也はピタッと泣き止んだ。
「凄いですね、望月さんは子供が好きなんですね」
「いや、弟達の面倒をよく見ていたからな、蓮だって自分の子供なんだからあやしてくれるだろう?」
美希はちょっと表情が曇った。
「蓮はあやしてくれないのか」
「蓮さんが抱っこすると余計に泣いちゃって、すぐ私に渡しちゃうんです」
「あいつは一人っ子だから苦労知らないからな、あっ、お互いに苦労するな」
「望月さんといると安心します」
美希はニッコリ微笑んで望月を見つめた。
しばらくの間沈黙になり、望月も美希を見つめた。
「そんな事言われると奪いたくなる」
二人は見つめ合った。
その時、望月が抱っこしていた蓮也が、泣き出した。
望月はハッと我にかえった。
「やべえ、蓮也に怒られた」
望月はあははと笑い、望月の言葉に美希もふふっと笑った。
「美希ちゃん、蓮を愛しているか」
「はい、愛しています」
「即答かよ」
「望月さんも麗子さんを愛していますよね」
「俺は……」
望月が言葉を探していると、蓮也が泣き出した。
「また、怒られた、じゃあ帰るな、また来るよ」
「はい」
望月は蓮のマンションを後にした。
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