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第十六章 ライバル出現

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「美希ちゃんを慰めろって神様が言ってるんじゃないか」

「神様?」

私は望月さんが神様だなんて言葉を使う事に意外だと感じた。

「えっ?意外?」

「はい」

「これでも毎朝神様を祈ってるよ、美希ちゃんが蓮じゃなく、俺を好きになってくれって」

望月さんの言葉にポカンと口を空けてしまった。

「なんて顔してるの、俺が美希ちゃんに惚れたら、おかしいかな」

「おかしいんじゃなくてあり得ませんよ」

「どうして?」

「どうしてって」

私は返事に困った、多分泣いている私を和ませる為なんだろうけど、こんな時なんて返せばいいか、この年代の人はよくわからない。

「あっ、大変な事忘れてました、救急車で病院まで運んで頂いてありがとうございました」

「ああ、大丈夫、よかったな、何事もなくて……」

「はい」

沈黙になった、何話せばいいの?

その時望月さんは廊下に蓮さんの気配を感じて、私のベッドに腰を下ろし、私の手を握った。

「美希ちゃん」


次の瞬間、蓮さんが病室に入ってきた、そして望月さんを私から引き離した。

「望月、美希に何してる、離れろ」

望月さんは蓮さんに廊下に出されて、胸ぐらを掴まれ、殴られた。

「痛ってえ」

「蓮さん、やめてください」

蓮さんは私に近づき「大丈夫か」と手を握った。

私の頬の涙を手で拭ってくれた。

「望月、てめえ、美希に何した、美希は泣いてるぞ」

望月さんは蓮さんが殴った口元に手をあて「ごめん、美希ちゃん、泣かしちまったな、びっくりしたんだな、可愛くてついキスしようとした」と自分を悪者にして、私の涙の訳を自分のせいにしてくれたのだ。

「望月、美希は俺の妻だ、今度はただでは済まないからな」

「俺の妻?それならちゃんと守ってやれよ」

「どう言う事だ」

二人のただならぬ状況に私は口を挟んだ。

「蓮さん、やめてください」

まず、蓮さんを落ち着かせ、望月さんを気遣った。

「望月さん、大丈夫ですか」

私はベッドから降りてハンカチを濡らし、望月さんの口元に当てた。



「大丈夫だ、美希ちゃん、ありがとう」

私は心の中で望月さんの気遣いに感謝した。

望月さんは蓮さんに一言投げかけた。

「蓮、お前が美希ちゃんを守れないなら、俺が美希ちゃんを守る、覚えておけ」

望月さんは病室を後にした。

蓮さんは私をベッドに誘導して寝かせてくれた。

「望月がごめん」

「望月さんは何もしていませんよ、私が泣いてるところへお見舞いに来て慰めてくれただけです」

「泣いていた?なんで泣いてたんだ」

「蓮さんを縛っちゃいけないなって思って、私は蓮さんの側にいちゃいけないのかなって思ったら、涙が出てきただけです」

「俺は縛られていると思っていない、それに美希は俺の側にずっといていいんだ、俺の妻なんだから」

「そうですね」

「会社の前にいた女性のことだが」

そこまで言いかけて、美希が言葉を遮った。

「麗子さんですよね」

「どうして知ってるんだ」

「麗子さんがお見舞いに来てくれたんです、恋人に振られて、兄のように慕う蓮さんに頼ったって聞きました」

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