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第七章 彼の嫉妬

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「嫌な予感がして戻ってきた、待ち伏せなんて卑怯な手を使いやがって」

彼は私を抱き寄せてキスをした、そのまま私を抱きかかえてベッドに押し倒した。

首筋に彼の唇が触れると身体が熱ってくるのを感じた、胸のボタンを外し、私の上着を脱がす、キャミソールから胸の膨らみが露わになり、彼の唇が押し当てられた。

彼の呼吸が荒くなり、彼の手が私の太腿から股へと滑り込んだ。
思わず「駄目」と叫んだ、しかし彼は私の言葉を聞かず身体を押しつけてくる。

「蓮さん、それ以上は・・・」

「まだあいつに惚れてるのか」

「違います」

「美希、俺はお前を愛してる」

キャミソールの胸の部分に彼の手がかかり、胸に触れた。

「イヤ」

私は溢れる涙を堪えながら叫んだ。

彼は我に返って私から離れた、そして部屋を出て行った。

堪えていた涙が一気に溢れ出し止まらない、どうしよう、彼を拒絶してしまった。



嫌だったわけではない、これ以上進んで、もし彼に満足出来ないと嫌われたら、もう彼なしでは生きていけないと強く感じた。

部屋を出ると彼の姿はなかった。
私は嫌われたと思った、涙が溢れてきた。
その時ドアが開いて彼が戻って来た。

「蓮さん、ごめんなさい、私……」

「美希、ごめんな、嫌がることはしないって約束したのに、俺はあいつに嫉妬した、あいつはいいのになんで俺は駄目なのかって……そんなの決まってるよな、俺は美希に嫌われてるんだよな」

「違います、違うんです」

私はこれ以上何も言えなかった。

「飯食おうぜ、コンビニで買って来たから、今日はこれで済ますぞ」

「わざわざ買いに行ってくれたんですか」

私は彼に申し訳ない気持ちで、涙が溢れて止まらなかった。

いつもなら彼は私を抱きしめてくれるのだが、今日は抱きしめて貰えなかった。

私は彼に嫌われたと思い込んだのである。

夜寝る時も、いつもなら腕枕をしてくれるのに、今日は私に背を向けて眠ってしまった。


俺は美希の元彼に嫉妬した。

美希が気軽にお茶したことも嫌だった。

俺は美希が何かに悩んでいることには気づいていたが、それが何なのかわからずにいた。

毎回俺はなぜ避けられるのか、あと一歩が進むことが出来ない。

今日は美希を抱きしめる気持ちになれなかった。

いつもなら腕枕をして美希を朝まで抱きしめると、気持ちが落ち着くのだ。

美希を抱きたい気持ちが溢れて俺は理性を抑えるのに必死だった。

美希はあいつのことは、もう愛していないと言った。

でもそれならなぜあいつと一緒の時間を過ごしたんだ。

まだ気持ちが残っているからじゃないのか。

それに俺は拒否されてる、本当はあいつを愛しているのか。

そんな気持ちが醜い嫉妬に変わり、俺はいつもの自分を保っている事が出来なかった。

美希の顔を見たら、嫌がる彼女を無理矢理襲ってしまいそうだった。

美希の気持ちは置き去りにして、俺の欲求だけを満足させるために抱きたかった。

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