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第六章 元彼との再会

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「今日これから出かけるぞ、早く支度しろ」

「どちらにいかれるのですか?」

「俺と美希の結婚指輪を買いに行く」

そう言って彼は私の左手の薬指に触れた。

「指輪はめたら一生俺のものだぞ」

彼は私の左手の薬指にキスをした。

私は、この幸せがずっと続くと信じて疑わなかった。



ある日、買い物に出かけた先で元彼に会った。
十年ぶりの再会である。

「美希、久しぶり、十年ぶりかな」

声をかけてきたのは、元彼の飛鷹 劉だった。
劉は十年経っても相変わらずかっこいい、当時のことが走馬灯のように甦る。

「時間あるならちょっとお茶しない?」

お茶くらいならいいよね。

「うん、ちょっとなら」

劉は私の左手の薬指の指輪に気づき

「結婚したの?」

「うん」

私も劉の左手を確認すると指輪はしていなかった

「劉は結婚は?」

「美希と別れてから誰とも付き合ってない、美希と別れて後悔したよ」

思いがけない言葉に動揺を隠せない、私と別れて後悔したなんて……

「美希、もう一度やり直せないかな、俺たち」

「何を言ってるの?もう遅いよ、私結婚しちゃったし」


「ご主人、鏑木建設社長だろ」

「なんで知ってるの?」

「テレビ中継見てびっくりしたよ、美希すげえ綺麗だったから、十年経ってるとは思えなかった、あいつと別れて、やり直そう」

「そんな気ないから」

私はその場をあとにした。
お茶なんてしちゃって後悔した、でもこの時はっきりわかった、鏑木蓮を愛していると……
ちょっと後ろめたい、彼にちゃんと話した方がいいよね、迷った挙句彼に話すことにした。

「お話あるんですが……」

「何?」

「昼間、以前お付き合いをしていた男性と偶然会って、お茶しました。やり直そうと言われたのでちゃんとお断りしました」

彼は私の話を聞き終わると、深呼吸をして私に尋ねた。

「なんでお茶した?」

「久しぶりだったので、ただそれだけです」

「やり直そうって言われたんだ、美希が結婚してることは話したのか」

「はい」

「もう、お茶したりするな いいな」

「ごめんなさい」

彼は私を強く抱きしめた、そして耳もとで囁いた

「美希、前の男のこと、まだ好きか」

私は大きく首を横に振った、彼は私の頬を両手で
挟み、キスをした、優しいキスだった。元彼のことはこれで終わったかに思えた。

しかし、劉は私を待ち伏せて、詰め寄ってきた。

「美希を忘れられない、俺にもう一度チャンスをくれないか」

「ごめんなさい、私離婚する気持ちないから」

そう言ってその場から離れようとすると、いきなり腕をつかまれて引き寄せられた。

そこに彼が割って入り込み、私を自分の方へ引き寄せた。

彼は劉の胸ぐらをつかみ「人の妻に手を出すんじゃねえ」と殴りかかりそうになった。

「わかった、わかったよ、あんたが鏑木建設社長か、もう手出ししないよ」

「美希、捨てられないようにな」

すると彼は劉に対して一言投げつけた。

「美希は捨てねえし、別れる気もねえ、美希に二度と近づくな」

彼は私の手をつかみその場から離れた。

マンションに着くと、彼は何も言わず黙っていた

「ごめんなさい、今日お仕事はどうされたのですか?」

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