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第一章 俺様御曹司
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私は藤城美希 三十五歳、独身。
大学卒業後、鏑木建設会社に就職が決まり、経理部で十三年間勤めている。
二十八歳の時、恋愛をした。
最初で最後の恋と思っていた。
別れ際酷いことを言われ別れた。
それがトラウマになり、恋愛から遠ざかっていた。
もう恋はしないと心に決めていた。
鏑木さんは若い、彼の言葉を鵜呑みにしちゃいけないと自分に言い聞かせた。
でも、休憩室で会って話をするのを楽しみにしていたのは揺るぎない事実。
だから、期待した自分が情けなかった。
急に休憩室に来なくなり、全く社内でもすれ違う事さえなくなった。
苦肉の策で自分の記憶から彼を消した。
俺がアメリカへ渡米して一年が経とうとしていた頃親父が倒れた。
東條が慌てた様子で連絡してきた。
「蓮様、社長が倒れました、一命は取り止めたものの、社長業は難しいと医者に言われました、大至急お戻りください」
いつも沈着冷静な東條が珍しく平常心を失っていた。
「わかった、すぐ戻る」
俺はアメリカでの事を全て片付けて、日本に戻ってきた。
まずは親父の病院へ向かった。
「親父、大丈夫か」
「おお、蓮、すまんな迷惑かけて」
親父の口から出たと思えないような言葉だった。
「大丈夫だよ、それよりゆっくり休め、会社のことは俺が引き受ける」
「そうか、頼もしいなあ」
「当たり前だろ、親父の息子だからな」
そして病院を後にした。
会社に戻り、引き継ぎ業務を行った。
俺が鏑木建設会社の社長に就任した。
東條が俺の秘書になった。
「東條、よろしく頼む」
「かしこまりました、まずは全社員に向けて社長就任の挨拶になります、段取りを組みますので、蓮様は引越しの片付けをしてください」
「わかった、今晩はプライベートの時間に使っても問題ないな」
「はい」
俺は早速望月に連絡した。
「おお、蓮、いつ戻ったんだ」
「今しがた戻った、親父が倒れて呼び戻された」
望月は親父の病状を心配してくれた。
「親父さん、大丈夫なのか」
「仕事は引退だ」
「そうか、じゃあ、お前が社長か」
「そうだな、これから忙しくなると思うから、今日は報告の為に呼んだ」
「お前、かなり印象が変わったな、まるで別人だぞ」
「そうか?」
この時望月が思ったくらいだから、相当蓮の印象は変わっていた。
「いよいよ、彼女に告白か」
「ああ、三年だぞ、もう気持ちが溢れてコントロール出来ないかもしれない」
私は三十八歳を迎えていた。
大学卒業後入社した会社で十六年間経理部にて働いていた。
そんな私の前に現れたのが、社長に就任したイケメン御曹司鏑木蓮二十六歳。
就任挨拶の日、会社内を見て回りたいと各フロアにやってきた。経理部のフロアに彼が来ると、女性社員は独身の彼をゲットしようと、目を輝かせた。
一人一人の顔を確認した彼は、私を見つけると顔を綻ばせながら近づいてきた。
「名前を教えてくれ」
えっ私?なんで私だけ名前聞かれるの?不思議に思い、次の瞬間リストラが脳裏を掠めた。
「藤城美希です」
大学卒業後、鏑木建設会社に就職が決まり、経理部で十三年間勤めている。
二十八歳の時、恋愛をした。
最初で最後の恋と思っていた。
別れ際酷いことを言われ別れた。
それがトラウマになり、恋愛から遠ざかっていた。
もう恋はしないと心に決めていた。
鏑木さんは若い、彼の言葉を鵜呑みにしちゃいけないと自分に言い聞かせた。
でも、休憩室で会って話をするのを楽しみにしていたのは揺るぎない事実。
だから、期待した自分が情けなかった。
急に休憩室に来なくなり、全く社内でもすれ違う事さえなくなった。
苦肉の策で自分の記憶から彼を消した。
俺がアメリカへ渡米して一年が経とうとしていた頃親父が倒れた。
東條が慌てた様子で連絡してきた。
「蓮様、社長が倒れました、一命は取り止めたものの、社長業は難しいと医者に言われました、大至急お戻りください」
いつも沈着冷静な東條が珍しく平常心を失っていた。
「わかった、すぐ戻る」
俺はアメリカでの事を全て片付けて、日本に戻ってきた。
まずは親父の病院へ向かった。
「親父、大丈夫か」
「おお、蓮、すまんな迷惑かけて」
親父の口から出たと思えないような言葉だった。
「大丈夫だよ、それよりゆっくり休め、会社のことは俺が引き受ける」
「そうか、頼もしいなあ」
「当たり前だろ、親父の息子だからな」
そして病院を後にした。
会社に戻り、引き継ぎ業務を行った。
俺が鏑木建設会社の社長に就任した。
東條が俺の秘書になった。
「東條、よろしく頼む」
「かしこまりました、まずは全社員に向けて社長就任の挨拶になります、段取りを組みますので、蓮様は引越しの片付けをしてください」
「わかった、今晩はプライベートの時間に使っても問題ないな」
「はい」
俺は早速望月に連絡した。
「おお、蓮、いつ戻ったんだ」
「今しがた戻った、親父が倒れて呼び戻された」
望月は親父の病状を心配してくれた。
「親父さん、大丈夫なのか」
「仕事は引退だ」
「そうか、じゃあ、お前が社長か」
「そうだな、これから忙しくなると思うから、今日は報告の為に呼んだ」
「お前、かなり印象が変わったな、まるで別人だぞ」
「そうか?」
この時望月が思ったくらいだから、相当蓮の印象は変わっていた。
「いよいよ、彼女に告白か」
「ああ、三年だぞ、もう気持ちが溢れてコントロール出来ないかもしれない」
私は三十八歳を迎えていた。
大学卒業後入社した会社で十六年間経理部にて働いていた。
そんな私の前に現れたのが、社長に就任したイケメン御曹司鏑木蓮二十六歳。
就任挨拶の日、会社内を見て回りたいと各フロアにやってきた。経理部のフロアに彼が来ると、女性社員は独身の彼をゲットしようと、目を輝かせた。
一人一人の顔を確認した彼は、私を見つけると顔を綻ばせながら近づいてきた。
「名前を教えてくれ」
えっ私?なんで私だけ名前聞かれるの?不思議に思い、次の瞬間リストラが脳裏を掠めた。
「藤城美希です」
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