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第八章 信じられない気持ち

峻、もう私は峻に会えないの?

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あれ以来峻はマンションへは戻って来なかった。

峻、もう私は峻に会えないの?

唯香さんは、峻を取り戻そうと自殺未遂を選んだんだ、峻がいないと生きていけないと証明したんだ、私はどうなんだろうか。

私だって峻がいないと生きていけない、でも、それを証明する勇気は私にはない。

峻の気持ちはきっと唯香さんにある、だって放っておけないんだから・・・

私は毎日泣いていた、峻が私を利用しようとした事がショックだったのに、峻の事信じられないと思ったのに、今では峻がいない毎日がこんなにも寂しいなんて、これほどまでに峻に惹かれている自分の気持ちに、もう嘘はつけない。

ある日マンションの部屋のインターホンが鳴った誰だろうと思い応対すると、秘書の山元さんだった。

「奥様、大丈夫でしょうか、何かお困りの事がありましたらなんなりとお申し付けください」

私はドアを開けて山元さんを招き入れた。

「ありがとうございます、でも大丈夫です」

「社長が大変心配されています、一人放っておいで申し訳ないとおっしゃっていました、それで私に奥様の様子を見てくるように申しつけたのです」

「峻が・・・」

「はい、私では役不足かと思いますが・・・」

「そんなことはありません、一人でいるといろいろな事を考えてしまいますから、とても心強いです」

「社長が奥様に惹かれる気持ちわかります」

「えっ?」

「あっ、いえ、余計な事を言いました、申し訳ありません」

私は山元さんの心遣いに感謝した。

「また、寄らせて頂きます、何かありましたらなんなりと私のスマホに連絡してください」

「あのう、峻はずっと病院ですか?」

「はい、唯香さんの意識が戻りません、睡眠薬を大量に飲み、昏睡状態です」

「そうですか、心配ですね」

「では、失礼致します」

山元さんはマンションを後にした。
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