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第八章 信じられない気持ち

「これだけ言ってもわからないのか?」

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しばらくして峻の退院が決まった。

峻は秘書の山元さんと連れ立ってマンションへ戻ってきた。

「雫、ただいま」

「お帰りなさい、私のせいですみませんでした」

「大丈夫だよ、雫が無事で何よりだ」

峻は私を見つめ抱き寄せた。

私はすぐに峻から離れて視線を逸らした。

この時峻は寂しそうな表情で私を見つめた。

「では社長、私はこれで失礼致します、明日お迎えに参ります」

「山元さん、ありがとうございました」

「いいえ、では明日、失礼致します」

山元さんはマンションを後にした。

峻は私を抱き寄せキスをしようとした。

私は峻の腕から離れて「少しお休みになった方がいいですよ」と告げた。

「雫、どうして俺を信じてくれないんだ」

「私が唯香さんを上回るなんて信じられません、私は契約上の妻で、無事にチビちゃんを出産出来ればそれだけで十分です、唯香さんの側にいてあげてください」

「これだけ言ってもわからないのか?」

峻は大きくため息を吐き俯いた。

そして寝室へ行きしばらく出て来なかった。

それから峻は私を抱き寄せる事はしなくなった。

ただ、優しい微笑みを私に向けて、これでもかと言う位に語りかけてくれた。

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