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第七章 告げられた真実

彼から本当の気持ちが語られた。

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峻は私を見つめ、語り出した。

「雫、俺は無精子症で自分の子供を残せない、その事は事実だ、だから結婚を考えた相手にその事を伝えると、皆俺の元から去っていく、好きな人の子供を産みたいからと・・・そんな時俺の目の前に現れたのが雫だった、父親がいない子供を妊娠中で生活に困っていると、俺は雫と結婚すれば妻と子供が一気に手に入ると思い、雫を利用しようとしたのは事実だ」

真実を告白することは彼に取って尋常ではない葛藤があったのだろう。

小刻みに手が震えていた。

峻は意を決して更なる衝撃の真実を語り出した。

「雫と会う前に唯香とは別れたと言ったが、実は続いていた、俺は唯香を愛していた、唯香はモデルの仕事を続ける為子供は望んでいなかったから結婚する事は容易かったが、跡取り問題で反対され、俺は唯香と結婚したくて、雫を利用しようとした、子供の親権さえ手に入れれば、雫と離婚後唯香と再婚出来ると」

私は峻の告白に、呆然とその場に立ち尽くしていた。

ふっとある事に気づく、確かに騙されて結婚したんじゃない、初めから契約の関係だと、でもそれなら何故無期限と言われたのか、不思議だった。

「あの、なんで無期限と?」

峻は私を見つめた、そして彼から本当の気持ちが語られた。
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