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第四章 忍び寄る影

雫に何を吹き込んだのだろうか?

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仕事中に珍しくコンシェルジュの千賀から電話があった。

「冴木様、お仕事中に申し訳ございません」

「大丈夫だ、雫に何かあったか?」

コンシェルジュ千賀が俺に電話をかけてくるなんて、雫のこと以外考えられなかった。

「はい、雫様が買い物にお出かけにマンションから出ると、週刊誌の記者が寄ってきて雫様を質問攻めにしておりました、ありもしない噂を吹き込んでいたようです、大丈夫ですかとお声をかけた時の雫様のご様子が気になりまして、冴木様にご連絡をと思った次第でございます」

千賀はいつも気遣いの出来る頼もしいコンシェルジュで助かっている。

「わかった、いつも感謝している」

「とんでもございません」

週刊誌の記者がなんで雫に、確かに俺はいつも記者に追われていた。

三十を迎えて結婚を余儀なくされ、そんな時雫に出会った。

自分でも信じられない位に惹かれていった。

雫と出会う前までは熱愛報道があり、そして破局報道になる、そう、俺はいつも振られるからだ。

結婚直前まで行くも、ある事を相手に伝えると、結婚が破談になる。

女性遍歴が多いプレイボーイと噂が絶えない。

そんな俺が婚約して子供が産まれるなんて、何か裏があるんじゃないかと疑いたくもなるんだろう

雫に何を吹き込んだのだろうか?

この時雫がすっかり記者の言葉を信じて、俺の元を去ろうとしていた事など、知る術はなかった。


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