お前を誰にも渡さない〜俺様御曹司の独占欲

第四章 忍び寄る影

「もちろん、雫じゃなきゃ駄目なんだ」

彼の会社に向かうと、大きな会議室に通されて、そこには役員が顔を揃えていた。

「おはようございます、今日はお忙しい中、お集まり頂きましてありがとうございます、私ごとではありますが、この度ここにいる雨宮　雫さんと婚約致しました事をご報告いたします、彼女のお腹には自分の子供がいますので、その点をご配慮頂きたくお願い致します」

皆、拍手をした。

口々に「やっとか」「これで跡取りの心配はいらないな」などと、囁く声が聞こえてきた。

「社長、これから記者会見を取り行います、簡単な質問にいくつか答えて頂きます」

「雫は体調が思わしくないから、写真だけであとは俺が質問に答える形で頼む」

「かしこまりました」

「雫、写真撮ったら部屋で休んでいて構わないからな」

「わかりました、あのう、今更ですけど、本当に私でいいんですか？」

彼はニッコリ微笑んで「もちろん、雫じゃなきゃ駄目なんだ」と答えた。

記者会見の前にフラッシュが焚かれ、写真撮影が行われた。

それが終わると、彼は記者会見に臨んだ。

私は秘書の山元さんに案内されて、ホテルの部屋で休んでいるように促された。

「雫様、ここでゆっくり寛いでいてください、記者会見が済みましたら、社長もこちらにお見えになります」

「ありがとうございます」

「わがままな社長ですが、よろしくお願い致します」

「こちらこそ、不束者ですがよろしくお願いします」

秘書の山元さんは部屋を後にした。