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番外編 戸倉慶の兄 都築光

あいつの純粋な、子供みたいな気持ちが、玲子の凍りついた心を溶かしていったって事なのか。

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「玲子さん、大丈夫ですか?」

「兄貴、玲子さんが……」

「えっ?玲子大丈夫か?」

「お前、玲子になにしたんだよ」

「俺は何にもしてないよ」

その時、玲子が僕の袖を引っ張って「光、違うの、慶くんは悪くないから、私がちょっと泣き虫なだけ、大丈夫よ、光と一緒で幸せよ」

「玲子」

「お二人さん、熱いね」

「からかうんじゃねえよ」

慶はしばらくして「また来るよ」と言って帰った。

玲子の様子が気になったが、少し見守る事にした。

それから、玲子は部屋の中を一人で動き回るようになった。

以前は僕の存在を確かめるように、どこかに触れていないと心配みたいで、一人で動き回らなかったのに。

僕はハッと気づいた。

慶の存在か?

あいつの純粋な、子供みたいな気持ちが、玲子の凍りついた心を溶かしていったって事なのか。

完敗だった。
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