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第ニ章 淡い初恋の想い

俺が五歳の時二十歳だったから、美鈴は現在四十歳か。 もう結婚しているだろうか?

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しかし、そのたびに美鈴の笑顔が思い出されて、本気になれなかった。

俺は大学を卒業した後、親父の会社に就職した。

すぐアメリカに渡米して、建築のノウハウを勉強した。

俺が日本に戻ると急に親父は具合が悪くなり、入院する事になった。

「慶、悪いな、会社を頼む」

「取り敢えず引き受けるよ、でも弱気になるな、親父の奥さんを一人にするなよ」

「母さんのことか?」

「俺のお袋は俺を産んでくれたお袋ただ一人だ」

親父は寂しそうな表情で項垂れていた。

それから俺は社長業を引き継ぎ、戸倉建設の社長に就任した。

そして目に止まったのが美鈴の親父さんの会社の業績悪化だった。

そう、美鈴とは、俺が五歳の時結婚したいと決めていた、笑顔が可愛らしい葉村美鈴だ。

俺が五歳の時二十歳だったから、美鈴は現在四十歳か。

もう結婚しているだろうか?

俺は美鈴の身元調査を始めた。

「まだ、独身だ、親父さんの会社は相当な負債を抱えているな」

俺は現在の美鈴に一目会いたかった。
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