お前の身も心も捧げろ〜極道の寵愛は止められない

第二十九章 変わりゆく葉月の気持ち

富樫の溺愛④

理玖が西沢組組長に就任してから、はじめての関東圏の組長が一同に

集まる会合が開かれることになった。

理玖の組長としての初お目見えの場だ。
冨樫は冨樫組組長も兼任していた。

若頭は甲斐部徹、富樫の右腕だ。

全て把握している甲斐部は、この会合に理玖を出席させてはどうかと、富樫に話を持ち掛けた。

「会長、勿論葉月さんもいらっしゃいます」

「そうだな」

「恋は駆け引きですよ」

そして、会合当日、富樫は一番に席についた。

ほとんどの組長は、会場にはいってくるなり、富樫が席に座っている事を、不思議に感じていた。

そして西沢組組長、理玖がやってきた。

「姐さん、大丈夫ですか、自分が理玖坊ちゃんと入りましょうか」

緊張した葉月に気遣いを見せたのは、安藤だった。

「大丈夫です、私が理玖の後見人ですから」

そう言って、理玖と共に部屋に入った。

富樫は席を立つと、理玖と葉月の元に近づいた。

「理玖、よく来たな、葉月体調は大丈夫か」

富樫は葉月を見つめた。

葉月は俯いたまま、答えた。