お前の身も心も捧げろ〜極道の寵愛は止められない

第二十五章 雅也の真実の愛

富樫の本当の気持ち

葉月は、西沢のマンションで生活をしていた。

西沢組の組員がいつも葉月を守ってくれていた。

「葉月、白金組の由子、つまり今は冨樫の妻の女だ、わかるよな」

「はい」

「その女がお前の命を狙ってる」

「どうしてですか、私、離婚届にサインしました」

「実は、これから話すことは冨樫に口止めされていたことだ」

葉月は驚きの表情を見せた。

「冨樫は由子からお前を守るために、お前と別れた」

「えっ」

「お前にひどいことを言ったのも本心じゃない」

葉月は泣き崩れた。

「お前が命を絶とうとマンションの屋上から飛び降りた時も、
一番に駆けつけたかったんだ、でもな、由子に止められた」

「あいつは何をしでかすかわからない女だ」

「それじゃあ、冨樫さんはまだ私を愛してくれているんですね」

「ああ、そうだ」

「でもな、あいつはお前に危害が及ばないように、由子の機嫌を損ねないように、
由子の言いなりになって、お前を守っている」

葉月は居ても立ってもいられず、マンションを飛び出そうとした。

「待つんだ、葉月、どこに行くんだ」

「冨樫さんのところです」

「バカか、お前は、今、のこのこ行ってどうなるもんでもないだろう」

葉月はわかっていた、どうすることも出来ないことを……