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第十章 離れて気づく想い
冨樫さんが好き
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俺は毎日葉月のアパートへ行った。
インターホン越しに葉月の声が聞こえた。
「葉月、冨樫です、何か困ったことはないか」
「大丈夫ですよ」
やはり、この日もドアを開けてくれることはなかった。
「冨樫さん」
葉月から声をかけてくれた。
「なんだ」
「買い物行きたいんですが、ちょっと遠いので、車でお願いしたいんですが、お時間大丈夫ですか」
「大丈夫だ」
俺は奇跡が起きたのかと思った。
ドア越しに話をするだけでもいいと思っていた。
それなのに、買い物に付き合って欲しいと葉月から要望を伝えられ、しかも車でなんて、
テンションが上がった。
しばらくすると、ドアが開いて葉月が姿を現した。
久しぶりにみる葉月の顔は少し不安そうだった。
「葉月」
「わがまま聞いて頂いてありがとうございます」
「こんなのわがままのうちに入らないよ」
車からヤスシが出てきて、葉月に挨拶した。
「葉月さん、お久しぶりです、体調は大丈夫ですか」
「はい、大丈夫です」
俺は後ろのドアを開けて、葉月をエスコートした。
「ありがとうございます」
葉月は車の後部座席に乗り込んだ。
俺は助手席に乗ろうとドアを開けた。
「冨樫さん、後ろに乗ってください」
「いや、しかし……」
「私と一緒は嫌ですか」
「そんなわけないだろう、葉月は俺と一緒で大丈夫か」
「大丈夫です」
葉月は笑顔で答えてくれた。
葉月がアパートに引っ越してから三ヶ月が経っていた。
「冨樫さん、助手席じゃ危険ですもんね」
冨樫は「そうだな」と返事に躊躇していた。
実はこの車は全面防弾ガラスだから、助手席でも問題はないが、
葉月の近くに居たいと思った冨樫は、こんなへんじになった。
車の中は沈黙が流れた。
「なあ、葉月、また車使いたい時は言えよ」
「ありがとうございます」
冨樫はまともに葉月の顔を見られない。
なぜなら、抑えている気持ちが爆発しそうだからだ。
この三ヶ月、ドア越しで、毎日話はしていたが、顔は見ることが出来なかった。
手を引き寄せ抱きしめてしまいそうだったのだ。
「冨樫さん、なんで外ばかり見てるんですか、何かあるんですか」
「いや、別に理由はない」
「それなら、顔見ながらお話ししましょう」
実は葉月はこの三ヶ月、冨樫と離れて、寂しいと感じていた。
私って勝手だよね、怖いって離れたり、寂しいって顔見たくなったり。
心臓がどくどくと早くなっていた。
冨樫さんとキスしたい、冨樫さんに抱いて欲しいなんて思った、やっぱり、
私は淫乱なのかな。
冨樫は顔を見ながらと言われて、葉月の方に向き直った。
目の前に、葉月がいて、もうお抑えがきかない。
インターホン越しに葉月の声が聞こえた。
「葉月、冨樫です、何か困ったことはないか」
「大丈夫ですよ」
やはり、この日もドアを開けてくれることはなかった。
「冨樫さん」
葉月から声をかけてくれた。
「なんだ」
「買い物行きたいんですが、ちょっと遠いので、車でお願いしたいんですが、お時間大丈夫ですか」
「大丈夫だ」
俺は奇跡が起きたのかと思った。
ドア越しに話をするだけでもいいと思っていた。
それなのに、買い物に付き合って欲しいと葉月から要望を伝えられ、しかも車でなんて、
テンションが上がった。
しばらくすると、ドアが開いて葉月が姿を現した。
久しぶりにみる葉月の顔は少し不安そうだった。
「葉月」
「わがまま聞いて頂いてありがとうございます」
「こんなのわがままのうちに入らないよ」
車からヤスシが出てきて、葉月に挨拶した。
「葉月さん、お久しぶりです、体調は大丈夫ですか」
「はい、大丈夫です」
俺は後ろのドアを開けて、葉月をエスコートした。
「ありがとうございます」
葉月は車の後部座席に乗り込んだ。
俺は助手席に乗ろうとドアを開けた。
「冨樫さん、後ろに乗ってください」
「いや、しかし……」
「私と一緒は嫌ですか」
「そんなわけないだろう、葉月は俺と一緒で大丈夫か」
「大丈夫です」
葉月は笑顔で答えてくれた。
葉月がアパートに引っ越してから三ヶ月が経っていた。
「冨樫さん、助手席じゃ危険ですもんね」
冨樫は「そうだな」と返事に躊躇していた。
実はこの車は全面防弾ガラスだから、助手席でも問題はないが、
葉月の近くに居たいと思った冨樫は、こんなへんじになった。
車の中は沈黙が流れた。
「なあ、葉月、また車使いたい時は言えよ」
「ありがとうございます」
冨樫はまともに葉月の顔を見られない。
なぜなら、抑えている気持ちが爆発しそうだからだ。
この三ヶ月、ドア越しで、毎日話はしていたが、顔は見ることが出来なかった。
手を引き寄せ抱きしめてしまいそうだったのだ。
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「いや、別に理由はない」
「それなら、顔見ながらお話ししましょう」
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私って勝手だよね、怖いって離れたり、寂しいって顔見たくなったり。
心臓がどくどくと早くなっていた。
冨樫さんとキスしたい、冨樫さんに抱いて欲しいなんて思った、やっぱり、
私は淫乱なのかな。
冨樫は顔を見ながらと言われて、葉月の方に向き直った。
目の前に、葉月がいて、もうお抑えがきかない。
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