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第六章 二人を引き裂く黒い影
葉月の偽りの気持ち
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「城之内さん、私、妊娠している……」
葉月は目にいっぱいの涙を浮かべて言葉を詰まらせた。
理玖はそんなことも知らずに自分の気持ちをぶつけて、葉月を襲ってしまった。
「すまない、俺は、何も知らなくて、大丈夫か、お腹は痛くないか」
葉月は頷いていた。
「葉月、冨樫の元に戻るのか」
「そんなこと出来ません」
「それなら、ここにいろ、俺が葉月を守ってやる」
理玖は葉月が自分への思いがなくとも、一緒にいられたらと思った。
葉月は理玖の言葉に甘えてしまった。
麗美は最近の理玖の様子に違和感を覚えた。
そして、理玖の元に葉月がいることを突き止めた。
麗美は口角を上げてニヤッと笑った。
「絶対に雅也さんを手に入れて見せる」
麗美は雅也の元に向かった。
「雅也さん、私達婚約中よ、デートに誘ってくれてもいいんじゃないかしら」
「誰と誰が婚約中だって?」
「そんなことも言ってもいいのかしら、葉月さんは今、誰と一緒か知ってるの」
「葉月の居場所を知ってるのか」
「本山組若頭、城之内と暮らしてるのよ、しかも葉月さんは妊娠中よ」
雅也は愕然とした。
葉月が他の男と暮らしているなど、信じられないことだった。
しかも妊娠中なんて……
城之内といつそんな関係になったんだ。
「ねえ、雅也さん、葉月さんは城之内を愛しているのよ、雅也さんが私と結婚してくれたら
葉月さんを幸せにするように、城之内に言っておくわ、城之内は私の言うことには逆らえないのよ、つまり、葉月さんを谷底に突き落とすくらいのことも出来るのよ」
城之内は麗美の番犬同様だ。
葉月に酷いことをするなどあり得るだろう。
「わかった、言う通りにしよう、そのかわり、葉月に手を出すな」
「そんなにあの女が大切なの?」
「ああ、俺は葉月のためならなんでも出来る」
「雅也さんを裏切って、他の男を愛して妊娠までした女よ」
「俺は葉月の笑顔を守ってやる、たとえ他の男に向けられた笑顔だとしても……」
麗美は悔しい気持ちを抑えることが出来なかった。
「雅也さん、私にキスしてちょうだい」
「葉月に気持ちを確かめてからだ」
雅也は城之内のマンションへ向かった。
インターホンを押すが留守の様だった。
そこへ、理玖と葉月は産婦人科の帰りで、車から降りた。
「葉月」
雅也は葉月に声をかけた。
葉月はびっくりして、後退りした。
倒れそうになった葉月を、雅也は駆け寄り支えた。
「葉月、大丈夫か」
「冨樫さん」
二人はしばらく見つめあった。
そこに、運転席から降りて葉月を自分に引き寄せたのは理玖だった。
「俺の恋人に許可なく触れないで頂きたい」
理玖は葉月を恋人とはっきり雅也に向かって言った。
「お腹には俺の子供がいる、時期を見て葉月と結婚する、だからもう葉月に付き纏わないでくれ」
「城之内さん」
葉月は理玖の言葉に驚きを隠せなかった。
「葉月、本当なのか」
葉月は動揺を隠せず、答えることが出来なかった。
「葉月、一緒に帰ろう」
雅也は手を差し出した。
葉月は理玖の背中に隠れる様にして一言だけ言葉を発した。
「城之内さんを愛しています」
葉月は涙が溢れて止まらなかった。
雅也は、葉月の気持ちを重んじたかった。
今は、無理矢理連れて行くことは出来ない。
決して諦めたわけではない。
この場は一旦引き下がろうと、この場を後にした。
葉月は理玖の背中でワンワン泣いた。
「葉月、部屋に入ろう」
理玖は葉月を抱えて、エレベーターに乗った。
部屋に入ると、理玖は葉月を抱きしめた。
他の男を思いながら泣いている葉月を放っておくことなど理玖には出来なかった。
理玖は葉月の頬の涙にキスをした。
「葉月、大丈夫か、なんで冨樫は葉月が俺のマンションにいることがわかったんだ」
理玖は麗美の顔が浮かんだ。
きっとお嬢がつきとめて、冨樫に言いつけたんだ。
でも冨樫にははっきり言うことが必要だと感じた。
葉月は目にいっぱいの涙を浮かべて言葉を詰まらせた。
理玖はそんなことも知らずに自分の気持ちをぶつけて、葉月を襲ってしまった。
「すまない、俺は、何も知らなくて、大丈夫か、お腹は痛くないか」
葉月は頷いていた。
「葉月、冨樫の元に戻るのか」
「そんなこと出来ません」
「それなら、ここにいろ、俺が葉月を守ってやる」
理玖は葉月が自分への思いがなくとも、一緒にいられたらと思った。
葉月は理玖の言葉に甘えてしまった。
麗美は最近の理玖の様子に違和感を覚えた。
そして、理玖の元に葉月がいることを突き止めた。
麗美は口角を上げてニヤッと笑った。
「絶対に雅也さんを手に入れて見せる」
麗美は雅也の元に向かった。
「雅也さん、私達婚約中よ、デートに誘ってくれてもいいんじゃないかしら」
「誰と誰が婚約中だって?」
「そんなことも言ってもいいのかしら、葉月さんは今、誰と一緒か知ってるの」
「葉月の居場所を知ってるのか」
「本山組若頭、城之内と暮らしてるのよ、しかも葉月さんは妊娠中よ」
雅也は愕然とした。
葉月が他の男と暮らしているなど、信じられないことだった。
しかも妊娠中なんて……
城之内といつそんな関係になったんだ。
「ねえ、雅也さん、葉月さんは城之内を愛しているのよ、雅也さんが私と結婚してくれたら
葉月さんを幸せにするように、城之内に言っておくわ、城之内は私の言うことには逆らえないのよ、つまり、葉月さんを谷底に突き落とすくらいのことも出来るのよ」
城之内は麗美の番犬同様だ。
葉月に酷いことをするなどあり得るだろう。
「わかった、言う通りにしよう、そのかわり、葉月に手を出すな」
「そんなにあの女が大切なの?」
「ああ、俺は葉月のためならなんでも出来る」
「雅也さんを裏切って、他の男を愛して妊娠までした女よ」
「俺は葉月の笑顔を守ってやる、たとえ他の男に向けられた笑顔だとしても……」
麗美は悔しい気持ちを抑えることが出来なかった。
「雅也さん、私にキスしてちょうだい」
「葉月に気持ちを確かめてからだ」
雅也は城之内のマンションへ向かった。
インターホンを押すが留守の様だった。
そこへ、理玖と葉月は産婦人科の帰りで、車から降りた。
「葉月」
雅也は葉月に声をかけた。
葉月はびっくりして、後退りした。
倒れそうになった葉月を、雅也は駆け寄り支えた。
「葉月、大丈夫か」
「冨樫さん」
二人はしばらく見つめあった。
そこに、運転席から降りて葉月を自分に引き寄せたのは理玖だった。
「俺の恋人に許可なく触れないで頂きたい」
理玖は葉月を恋人とはっきり雅也に向かって言った。
「お腹には俺の子供がいる、時期を見て葉月と結婚する、だからもう葉月に付き纏わないでくれ」
「城之内さん」
葉月は理玖の言葉に驚きを隠せなかった。
「葉月、本当なのか」
葉月は動揺を隠せず、答えることが出来なかった。
「葉月、一緒に帰ろう」
雅也は手を差し出した。
葉月は理玖の背中に隠れる様にして一言だけ言葉を発した。
「城之内さんを愛しています」
葉月は涙が溢れて止まらなかった。
雅也は、葉月の気持ちを重んじたかった。
今は、無理矢理連れて行くことは出来ない。
決して諦めたわけではない。
この場は一旦引き下がろうと、この場を後にした。
葉月は理玖の背中でワンワン泣いた。
「葉月、部屋に入ろう」
理玖は葉月を抱えて、エレベーターに乗った。
部屋に入ると、理玖は葉月を抱きしめた。
他の男を思いながら泣いている葉月を放っておくことなど理玖には出来なかった。
理玖は葉月の頬の涙にキスをした。
「葉月、大丈夫か、なんで冨樫は葉月が俺のマンションにいることがわかったんだ」
理玖は麗美の顔が浮かんだ。
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