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第ニ章 極道の寵愛

忌まわしいDV

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ヤスシの言葉に葉月は驚きの表情を見せた。

「どう言うことですか」

「若頭、ずっと……」

「ヤスシ、余計なこと言うんじゃない」

「すみません」

葉月はなんのことだかわからなかったが、冨樫には何か秘密があるんだと推測した。

ヤスシは鼻歌を歌いながら、キッチンに向かった。

冨樫は葉月に向かって、頭を下げた。

「すまねえ、許してくれ、二度と葉月には触れねえ、約束する」

葉月はそれはそれで寂しいと感じた。

冨樫と一緒に過ごす時間は心地よい。

キスも抱きしめられることも嫌ではない。

ただ、DVの忌まわしい記憶が葉月をセックスから遠ざける。

葉月には年下の恋人がいた。

山辺徹、異常とも取れる性癖の持ち主だ。

独占欲が強く、少しでも逆らうと、DVに走る。

散々殴りつけると「葉月、ごめん、お前を愛している、好きだ」そう言って

身体中にキスマークをつける。



意識が飛ぶまでセックスの快楽に溺れる。

葉月に取ってセックスは苦痛でしかない。

しかし、身体は快楽を求めてしまう。

葉月は山辺と離れられない関係だった。

ある日、いつものように、山辺に求められて、身体を重ねる。

そして、痛めつけられる。

その後、また身体中にキスマークをつけられて、セックスをする。

愛されていると言う感情だけが、葉月を支えていた。

ところが、この日は、見知らぬ男性とのセックスをすることになった。

山辺は葉月とのセックスに飽きて、他の男性との関係を迫った。

「葉月、こいつとセックスしてくれ、お前が別の男と喘いでいる姿が見たい」

葉月は無理矢理、ほかの男とのセックスを強要された。

この時、葉月は山辺から逃げる決意を固めたのだった。

自分の目の前で頭を下げる冨樫に葉月は言葉をかけた。

「そんなに謝らないでください、私だって冨樫さんを求めたんですから、二度と触れないなんて寂しいこと言わないでください」

冨樫は葉月の言葉にポカンとした表情を見せた。

「あ、あのう、私、その寂しいというか、あのう……」

冨樫はそっと葉月の肩を抱いて、おでこにキスを落とした。



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