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第一章 目覚めた愛
看病
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極道の世界から抜け出したかったんだ。
相手の男は堅気の男で、望美が極道の孫娘だと知ってショックを受け、
自殺を図った。
そして、望美も後を追うようにこの世を去った。
俺は望美を愛していた。
あの潤んだ瞳、感じる喘ぎ声、キュッとしまった秘所、抱くたびに俺は望美がいない人生は考えられなくなっていった。
望美だって、俺を愛していてくれていると疑いもしなかった。
それなのに、あの愛情は偽りだったのか。
そして、愛する男の後を追ってこの世を去ったのだ。
三年前から俺は何も感じなくなった。
若頭の仕事も全くと言っていいほどしていない。
ただ、なんとなく一日が過ぎていく。
気が向いた時、商売女のところに行って、性的処理をする。
指名はしない、誰でも良かったからだ。
女はうなされているようだった。
おでこにタオルを乗せ、俺は看病した。
俺、なんでこんなに一生懸命やってるんだ。
女は二日間眠り続けた。
俺は女が寝ているベッドで、うたた寝をしてしまった。
女は目が覚めたらしく、起き上がって、俺にタオルケットをかけてくれた。
俺は目が覚めた。
顔を上げると、目の前に女の顔があった。
「大丈夫ですか」
「それはこっちのセリフ」
「私は熱も下がったみたいで、大丈夫です、看病して下さったんですね、
ありがとうございました」
女は頭を深々と下げた。
「なんか食べた方がいいんだが、食べられそうか」
「いえ、私は大丈夫です、もう失礼します、このお礼は必ず」
そう言ってその女はベッドから立ち上がった。
当然のごとく、ふらついて倒れそうになった。
俺は女を支えた。
「いきなり立ち上がったら危ねえだろう」
「すみません」
その女の身体は華奢で、今にも折れそうな身体をしていた。
「名前は何て言うんだ」
「日向葉月です」
「俺は冨樫雅也だ、葉月、もっと飯食わねえと、お前の身体折れそうだぞ」
「すみません」
「今、食事の支度するから食っていけ」
「冨樫さんが作るんですか」
「いや、違う、そろそろシェフが到着する頃だ」
「えっ」
その時、インターホンが鳴った。
「あ、きたきた」
「お待たせしました、お嬢さん、大丈夫ですか」
そう言って部屋に入ってきたのはヤスシだった。
「はじめまして、冨樫組のヤスシって言います、若頭の舎弟です、何なりと言ってください」
冨樫組若頭?冨樫さんは極道の世界の人。
どうしよう。
「あのう、私、売られちゃうんですか」
葉月の言葉に雅也とヤスシは顔を見合わせて吹き出した。
葉月はポカンとしてなんで笑われてるのか、全くわからなかった。
「そんなことしねえよ、うちの組は任侠集団だからな、世のため人のためと言うのが、
組長の教えだ」
相手の男は堅気の男で、望美が極道の孫娘だと知ってショックを受け、
自殺を図った。
そして、望美も後を追うようにこの世を去った。
俺は望美を愛していた。
あの潤んだ瞳、感じる喘ぎ声、キュッとしまった秘所、抱くたびに俺は望美がいない人生は考えられなくなっていった。
望美だって、俺を愛していてくれていると疑いもしなかった。
それなのに、あの愛情は偽りだったのか。
そして、愛する男の後を追ってこの世を去ったのだ。
三年前から俺は何も感じなくなった。
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ただ、なんとなく一日が過ぎていく。
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女は二日間眠り続けた。
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女は目が覚めたらしく、起き上がって、俺にタオルケットをかけてくれた。
俺は目が覚めた。
顔を上げると、目の前に女の顔があった。
「大丈夫ですか」
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「私は熱も下がったみたいで、大丈夫です、看病して下さったんですね、
ありがとうございました」
女は頭を深々と下げた。
「なんか食べた方がいいんだが、食べられそうか」
「いえ、私は大丈夫です、もう失礼します、このお礼は必ず」
そう言ってその女はベッドから立ち上がった。
当然のごとく、ふらついて倒れそうになった。
俺は女を支えた。
「いきなり立ち上がったら危ねえだろう」
「すみません」
その女の身体は華奢で、今にも折れそうな身体をしていた。
「名前は何て言うんだ」
「日向葉月です」
「俺は冨樫雅也だ、葉月、もっと飯食わねえと、お前の身体折れそうだぞ」
「すみません」
「今、食事の支度するから食っていけ」
「冨樫さんが作るんですか」
「いや、違う、そろそろシェフが到着する頃だ」
「えっ」
その時、インターホンが鳴った。
「あ、きたきた」
「お待たせしました、お嬢さん、大丈夫ですか」
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「はじめまして、冨樫組のヤスシって言います、若頭の舎弟です、何なりと言ってください」
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どうしよう。
「あのう、私、売られちゃうんですか」
葉月の言葉に雅也とヤスシは顔を見合わせて吹き出した。
葉月はポカンとしてなんで笑われてるのか、全くわからなかった。
「そんなことしねえよ、うちの組は任侠集団だからな、世のため人のためと言うのが、
組長の教えだ」
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