22 / 29
④
しおりを挟む
目の前で震えて泣いている梨花を「ごめん」と言って抱きしめた。
梨花の身体を起こし、毛布をかけて、頬の涙を拭った。
「梨花、やつをまだ愛しているんだな」
「違います」
俺は思いもよらない梨花の言葉に戸惑った。
「確かに純一さんと結婚を望んでいましたが、嘘をつかれたのはかなりショックでした、それに三葉ホテル御曹司だったなんて、身分の違いに震えました」
梨花は言葉を続けた。
「その時、純一さんの側にはいられないと思ったんです、七年振りに再会して、ずっと私を探してくれていたなんて驚きましたし、それに五億の借金を払うなんて信じられませんでした」
俺は黙って梨花の気持ちを探っていた。
「最上さんの側にいて、妻を演じ続ければ、借金は払わなくていいと言われていたことはちゃんと覚えています、その道が私にとって最良の選択肢だとも思います、でも……」
俺は梨花の出した結論が分かり、自分から答えを口にした。
梨花に言われたらショックがでかい、情けない男だ。
「俺と別れて、やつとやり直したいってことだな、俺は借金さえ払ってもらえればなんの問題もない、さっさと荷物をまとめて出て行け」
「違います」
梨花に背を向けた途端、予想しなかった言葉に驚いて、振り向いた。
「私、最上さんの妻を演じ続けます、そうしたら借金は払わなくていいんですよね」
「やつを愛しているんじゃないのか」
「私、わかったんです、愛していたら側を離れなかったんじゃないかって」
「七年前はそうだったかもしれないが、再会してずっと探してくれていて、五億の借金を払ってくれると聞いて、気持ちが動いたんじゃないのか」
「私、最上さんの側を離れたくないんです、たとえ最上さんが私を愛してくれなくても、私が望めば最上さんの側にいられるんですよね」
「そうだな」
「もし、最上さんに愛する女性が現れても、私がサインしなければ、離婚出来ないんですから、私はずっと最上さんの側にいられますよね、覚悟してくださいね」
「俺を脅すのか」
「はい」
「いい度胸じゃねえか」
「それに以外と最上さんとの生活は楽しいし」
「以外とだと、最高にって思わせてやるよ、それにお前とは離婚はしねえ、生涯こき使ってやるから覚悟しろ」
「はい、それから……」
「なんだ」
「さっきの本当に嫌だったわけじゃなくて、なんか最上さんがいつもと違って怖かっただけですから……」
梨花は頬を真っ赤にして恥ずかしがっていた。
「ほお、それは俺に続きをねだっているって言うことか」
「もう、知りません」
梨花は俺に背を向けた。
俺は背中から梨花を抱きしめた。
そして、耳元で囁いた。
「残念ながら今日はお預けだ、また今度抱いてやる」
「どうしてですか」
「その気が失せた」
梨花は頬を膨らませて俺を見た。
「キスして欲しいのか」
「はい」
素直な梨花に心臓を射抜かれた。俺は梨花にチュッとキスをした。
これ以上梨花と身体を重ねていると、俺の理性がもたない。
そんな矢先俺の梨花に対する気持ちがはっきり分かった出来事が起きた。
梨花の身体を起こし、毛布をかけて、頬の涙を拭った。
「梨花、やつをまだ愛しているんだな」
「違います」
俺は思いもよらない梨花の言葉に戸惑った。
「確かに純一さんと結婚を望んでいましたが、嘘をつかれたのはかなりショックでした、それに三葉ホテル御曹司だったなんて、身分の違いに震えました」
梨花は言葉を続けた。
「その時、純一さんの側にはいられないと思ったんです、七年振りに再会して、ずっと私を探してくれていたなんて驚きましたし、それに五億の借金を払うなんて信じられませんでした」
俺は黙って梨花の気持ちを探っていた。
「最上さんの側にいて、妻を演じ続ければ、借金は払わなくていいと言われていたことはちゃんと覚えています、その道が私にとって最良の選択肢だとも思います、でも……」
俺は梨花の出した結論が分かり、自分から答えを口にした。
梨花に言われたらショックがでかい、情けない男だ。
「俺と別れて、やつとやり直したいってことだな、俺は借金さえ払ってもらえればなんの問題もない、さっさと荷物をまとめて出て行け」
「違います」
梨花に背を向けた途端、予想しなかった言葉に驚いて、振り向いた。
「私、最上さんの妻を演じ続けます、そうしたら借金は払わなくていいんですよね」
「やつを愛しているんじゃないのか」
「私、わかったんです、愛していたら側を離れなかったんじゃないかって」
「七年前はそうだったかもしれないが、再会してずっと探してくれていて、五億の借金を払ってくれると聞いて、気持ちが動いたんじゃないのか」
「私、最上さんの側を離れたくないんです、たとえ最上さんが私を愛してくれなくても、私が望めば最上さんの側にいられるんですよね」
「そうだな」
「もし、最上さんに愛する女性が現れても、私がサインしなければ、離婚出来ないんですから、私はずっと最上さんの側にいられますよね、覚悟してくださいね」
「俺を脅すのか」
「はい」
「いい度胸じゃねえか」
「それに以外と最上さんとの生活は楽しいし」
「以外とだと、最高にって思わせてやるよ、それにお前とは離婚はしねえ、生涯こき使ってやるから覚悟しろ」
「はい、それから……」
「なんだ」
「さっきの本当に嫌だったわけじゃなくて、なんか最上さんがいつもと違って怖かっただけですから……」
梨花は頬を真っ赤にして恥ずかしがっていた。
「ほお、それは俺に続きをねだっているって言うことか」
「もう、知りません」
梨花は俺に背を向けた。
俺は背中から梨花を抱きしめた。
そして、耳元で囁いた。
「残念ながら今日はお預けだ、また今度抱いてやる」
「どうしてですか」
「その気が失せた」
梨花は頬を膨らませて俺を見た。
「キスして欲しいのか」
「はい」
素直な梨花に心臓を射抜かれた。俺は梨花にチュッとキスをした。
これ以上梨花と身体を重ねていると、俺の理性がもたない。
そんな矢先俺の梨花に対する気持ちがはっきり分かった出来事が起きた。
0
お気に入りに追加
45
あなたにおすすめの小説
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
隠れ御曹司の手加減なしの独占溺愛
冬野まゆ
恋愛
老舗ホテルのブライダル部門で、チーフとして働く二十七歳の香奈恵。ある日、仕事でピンチに陥った彼女は、一日だけ恋人のフリをするという条件で、有能な年上の部下・雅之に助けてもらう。ところが約束の日、香奈恵の前に現れたのは普段の冴えない彼とは似ても似つかない、甘く色気のある極上イケメン! 突如本性を露わにした彼は、なんと自分の両親の前で香奈恵にプロポーズした挙句、あれよあれよと結婚前提の恋人になってしまい――!? 「誰よりも大事にするから、俺と結婚してくれ」恋に不慣れな不器用OLと身分を隠したハイスペック御曹司の、問答無用な下克上ラブ!
初色に囲われた秘書は、蜜色の秘処を暴かれる
ささゆき細雪
恋愛
樹理にはかつてひとまわり年上の婚約者がいた。けれど樹理は彼ではなく彼についてくる母親違いの弟の方に恋をしていた。
だが、高校一年生のときにとつぜん幼い頃からの婚約を破棄され、兄弟と逢うこともなくなってしまう。
あれから十年、中小企業の社長をしている父親の秘書として結婚から逃げるように働いていた樹理のもとにあらわれたのは……
幼馴染で初恋の彼が新社長になって、専属秘書にご指名ですか!?
これは、両片想いでゆるふわオフィスラブなひしょひしょばなし。
※ムーンライトノベルズで開催された「昼と夜の勝負服企画」参加作品です。他サイトにも掲載中。
「Grand Duo * グラン・デュオ ―シューベルトは初恋花嫁を諦めない―」で当て馬だった紡の弟が今回のヒーローです(未読でもぜんぜん問題ないです)。
隠れドS上司をうっかり襲ったら、独占愛で縛られました
加地アヤメ
恋愛
商品企画部で働く三十歳の春陽は、周囲の怒涛の結婚ラッシュに財布と心を痛める日々。結婚相手どころか何年も恋人すらいない自分は、このまま一生独り身かも――と盛大に凹んでいたある日、酔った勢いでクールな上司・千木良を押し倒してしまった!? 幸か不幸か何も覚えていない春陽に、全てなかったことにしてくれた千木良。だけど、不意打ちのように甘やかしてくる彼の思わせぶりな言動に、どうしようもなく心と体が疼いてしまい……。「どうやら私は、かなり独占欲が強い、嫉妬深い男のようだよ」クールな隠れドS上司をうっかりその気にさせてしまったアラサー女子の、甘すぎる受難!
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる