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へえ、早く俺に抱かれたいって①
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「そうですよ、ずっと一人で寂しくて」
「へえ、早く俺に抱かれたいって」
「もう、そんなこと言ってません」
「俺は早く梨花を抱きたい」
「最上さん」
私はこの間の最上さんとの抱擁を思い出していた。
「もう切るぞ」
そしてスマホは切れた。
最上さんは私の貧血を心配して連絡くれたのかな。
そう、私は貧血気味で、足首の骨折もふらつきが原因だった。
そんな時、私の人生を大きく揺るがす出来事が起こった。
以前私はプロポーズされたことがあり、でもその彼とは別れることになった。
それは十年も前の事だった。
二十八歳の時、あるホテル業界の御曹司と知り合った。
三葉純一、三葉ホテルの副社長だった彼は、自分の身分を偽り、私と付き合うことになった。
当時コンビニで働いていた私は、ギリギリの生活をしていた。
削るとしたら食費しかない。
お腹が空いた。
もう、ふらついて歩けない。
今思うと、この頃から貧血があったのかもしれない。
私は倒れそうになったところを純一さんが助けてくれた。
「危ない、大丈夫?」
「すみません、お腹が空いて」
「じゃあ、まず、なんか食べようか」
彼はクスクス笑いながら私を抱えて「すぐそこに車停めてあるから、頑張れる?」と、
声をかけた。
「はい」
見ず知らずの男性の車に乗るなんて、本当は避けたいところだが、今の私には助けてもらう選択肢しかなかった。
彼は「ちょっと待っててね」と私に声をかけて車から降りた。
しばらくして、コンビニの袋を下げて戻ってきた。
「おにぎりとサンドイッチどっちがいい」
「おにぎりを頂きます」
私はおにぎりにかぶりついた。
勢いよく頬張ったため、むせてしまった。
「はい、お茶もどうぞ」
私はペットボトルのお茶を喉に流し込んだ。
「死ぬかと思った」
彼は声高らかに笑い出した。
「ごめん、ごめん、おもしろいね」
「別におもしろくなんかありません」
「自己紹介まだだったよね、僕は三葉純一、君の名前は?」
「私は鶴巻梨花です、助けて頂いてありがとうございます」
「どういたしまして」
「あのう、今持ち合わせてがなくて……」
「ああ、いいよ、奢ってあげる」
「でも……」
「それじゃあ、今度、僕が困った時助けてくれる?」
「三葉さん、困ることなんかあるんですか、失礼ですけど、お金いっぱい持っているように見えますけど」
彼は自分が三葉ホテル御曹司だと言うことで、騙されることが多く、いつも自分の身分を偽って生活していた。
「ああ、車も洋服も友達からの借り物なんだ」
「そうなんですか、お金持ちはなんか冷たい感じで、それに住む世界が違うから、私はあまり好きじゃなくて……」
「そうなんだ」
「私でよければ、おにぎりのお礼させてください」
「良かった、じゃあ、連絡先交換してくれる?」
「はい」
こうして私と純一さんの付き合いは始まった。
手を繋ぐのに一年かかり、それから二人の仲は進展がなかった。
ある日、純一さんからプロポーズされた。
「梨花さん、僕と結婚してください」
「へえ、早く俺に抱かれたいって」
「もう、そんなこと言ってません」
「俺は早く梨花を抱きたい」
「最上さん」
私はこの間の最上さんとの抱擁を思い出していた。
「もう切るぞ」
そしてスマホは切れた。
最上さんは私の貧血を心配して連絡くれたのかな。
そう、私は貧血気味で、足首の骨折もふらつきが原因だった。
そんな時、私の人生を大きく揺るがす出来事が起こった。
以前私はプロポーズされたことがあり、でもその彼とは別れることになった。
それは十年も前の事だった。
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削るとしたら食費しかない。
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もう、ふらついて歩けない。
今思うと、この頃から貧血があったのかもしれない。
私は倒れそうになったところを純一さんが助けてくれた。
「危ない、大丈夫?」
「すみません、お腹が空いて」
「じゃあ、まず、なんか食べようか」
彼はクスクス笑いながら私を抱えて「すぐそこに車停めてあるから、頑張れる?」と、
声をかけた。
「はい」
見ず知らずの男性の車に乗るなんて、本当は避けたいところだが、今の私には助けてもらう選択肢しかなかった。
彼は「ちょっと待っててね」と私に声をかけて車から降りた。
しばらくして、コンビニの袋を下げて戻ってきた。
「おにぎりとサンドイッチどっちがいい」
「おにぎりを頂きます」
私はおにぎりにかぶりついた。
勢いよく頬張ったため、むせてしまった。
「はい、お茶もどうぞ」
私はペットボトルのお茶を喉に流し込んだ。
「死ぬかと思った」
彼は声高らかに笑い出した。
「ごめん、ごめん、おもしろいね」
「別におもしろくなんかありません」
「自己紹介まだだったよね、僕は三葉純一、君の名前は?」
「私は鶴巻梨花です、助けて頂いてありがとうございます」
「どういたしまして」
「あのう、今持ち合わせてがなくて……」
「ああ、いいよ、奢ってあげる」
「でも……」
「それじゃあ、今度、僕が困った時助けてくれる?」
「三葉さん、困ることなんかあるんですか、失礼ですけど、お金いっぱい持っているように見えますけど」
彼は自分が三葉ホテル御曹司だと言うことで、騙されることが多く、いつも自分の身分を偽って生活していた。
「ああ、車も洋服も友達からの借り物なんだ」
「そうなんですか、お金持ちはなんか冷たい感じで、それに住む世界が違うから、私はあまり好きじゃなくて……」
「そうなんだ」
「私でよければ、おにぎりのお礼させてください」
「良かった、じゃあ、連絡先交換してくれる?」
「はい」
こうして私と純一さんの付き合いは始まった。
手を繋ぐのに一年かかり、それから二人の仲は進展がなかった。
ある日、純一さんからプロポーズされた。
「梨花さん、僕と結婚してください」
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