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足手纏いなんだよ

山城の優しさに触れて

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「よろしくお願いします」

ひとみは荷物を整理して、力也のマンションを後にした。

力也はマンションに戻ると、テーブルの上にあるひとみのサイン済みの離婚届が

目に留まった。

そして、ひとみの部屋は荷物が整理されて、片付いていた。

力也はテーブルの上のものを払いのけて、叫んだ。

「ひとみ、ひとみ」

しばらくして力也は落ち着きが戻ってきた。

(こんなに、この部屋、広かったか)

水を飲もうと、冷蔵庫を開けると、ラップがかけられた食事があり、手紙が添えられてあった。

『力也さん、お帰りなさい、お仕事ご苦労様です、食事作っておきました、もし、よかったら温めて食べてください、時々力斗に会いにきてくださいね』

力也はひとみが作ってくれた食事を頬張った。

テーブルには力也の涙が無数に落ちていた。

その頃、山城のマンションでは、ひとみが作った食事を、山城と力斗で頬張っていた。

「ママの料理はうまいな」

「うん、パパも食べたいだろうな」

「そうだな、今度会う時作って持っていけばどうだ」

「そうだね」

「ママ、僕とママはいつうちに帰れるの」

ひとみは答えに詰まってしまった。

「なあ、力斗、お前のパパはさらに上に上り詰めた、応援する奴と
そうじゃない奴がいる、意地悪する奴から、ママと力斗を守ってくれって、
俺は頼まれた、だからしばらくの間、ここで暮らすんだ」

「うん」

「力斗は男だから、ママを守らないといけない、俺と一緒にママを守ることが出来るか」

「出来る」

「そうか、じゃあ頑張ろう」

ひとみは山城に感謝と共に尊敬の気持ちを向けた。

力斗を寝かしつけると、リビングで、山城がスマホを見ていた。

「山城さん、ありがとうございました、私一人だったら、どう説明したらいいか困っていました」

「なあ、ひとみ、半年後、ひとみが俺のプロポーズにOKの返事をくれたら、力斗にパパにしてくれって話すよ、いいよな」

ひとみは戸惑っていた。

山城はひとみを抱きしめて、キスをしようと試みた。
でもひとみは顔を背けて拒否した。
「ごめんなさい、こんなにお世話になってるのに私ったら……」
「いや、それを理由にキスを受け入れてくれても、全然嬉しくないよ」

山城はひとみをギュッと抱きしめた。
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